3-7:二つの贈り物
ヒロイン
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レノの今日の用事はとある荷物の受け取りだ。エッジを越えて、よりミッドガルに近いところに目的の店はあった。店主は留守だったが、店番をしていた見習い職人から商品を受け取ると、レノは大急ぎでヒーリンに引き返した。
ヒーリンへは日が落ちる前に戻ることができた。家に車を止めてから広場に向かうと、まだそこは大賑わいだった。レノは早足でヒロインの元に向かった。
「ただいま、ヒロイン」
そっと背後から近づいて後ろから抱きしめると、ヒロインが小さく悲鳴を上げた。
「レノ、おかえ――」
「レノ先輩!どこ行ってたんですか!?ほら、まだお菓子いっぱいあるから、配るの手伝ってください!!」
ヒロインの『おかえり』を掻き消され、レノは軽くイリーナを睨んだ。
「少しぐらい休憩させろよ」
「そんな暇ないです!ほら!早く!」
ヒロインと言葉を交わす間もなくイリーナに箱を押し付けられ、レノは渋々それを受け取った。そして、結局ヒロインとは話ができないまま、日が暮れるまでお菓子配りは続いた。日が落ちて一段と冷え込んだこともあり、誰かが声をかけて、慰労会は終了となった。大量にあったお菓子はすべて無事配り終えられたのだった。
昨日に続き疲労困憊ではあったが、今日はベッドに倒れ込むわけには行かない。レノは家に戻ると、受け取った荷物を手にヒロインの部屋に向かった。
「お疲れ様。レノが作ったクッキー、大人気だったの。手伝ってくれてありがとう」
二人でソファに腰掛け、レノはヒロインの肩を抱きながら話に耳を傾けた。話を聞きながらヒロインの長く艷やかな髪を指にからませて遊んでいると、ヒロインがこちらを見上げてきた。
「どうしたの?今日は私の髪ばかり触ってるけど」
「ん?綺麗な髪だな、って」
不思議そうに首を傾げているヒロインに、レノはポケットから取り出した箱を手渡した。
「プレゼントだぞ、と」
蓋を開け、中身をヒロインに見せると、ヒロインの目が大きく開かれた。
「綺麗…」
箱の中身はバレッタだ。
「前に買い物行ったとき見てただろ?せっかくだから既製品じゃなく、特注で作ろうと思ってよ」
「この石、レノと同じ色だね」
赤とスカイブルーの石が散りばめられたバレッタを手に取ったヒロインが嬉しそうに笑った。
「オレがいなくてもヒロインを守ってくれるように、ってな」
「うれしい…似合うかな?」
ヒロインが早速バレッタで髪を留めて、それをレノの方に見せる。バレッタはヒロインの黒髪によく似合っていた。
「あぁ、似合ってるぞ、と」
「…じゃあ、私も」
そう言って立ち上がったヒロインがベッド脇のサイドラックから小さな箱を取り出し、レノにそれを手渡した。
「開けてみて」
ソファに腰掛けたヒロインがとても楽しそうに言った。レノは言われるがまま箱を開け、中身を見て目を丸くした。中には髪留めが入っていた。銀色の髪留めの端に一つディープブルーの石があしらわれていた。
「私がそばにいなくても、レノを守ってくれますように」
その石の色はヒロインの瞳と同じ色だった。レノが一瞬で心奪われたその色は、レノが一番好きな色でもあった。
「二人とも同じこと考えてたみたいね」
くすりと笑ったヒロインが、レノに後ろを向くように言った。そして、櫛でレノの髪を解くと、今つけている髪留めの代わりに新しい髪留めをつけた。ヒロインに渡された鏡で自分の髪につけられた髪留めを見てみる。使い心地は前のものと変わらないが、その端できらめく石がとても綺麗だった。
「ありがとな。大事にするぞ、と」
レノはヒロインをソファに押し倒してキスをした。軽くついばむキスをして焦らしていると、ヒロインの口が軽く開かれた。そこに舌を入れようと顔を近づけたとき、ヒロインから制止の声が上がった。いつもならここで止められることはないのだが。レノが訝しんでいると、ヒロインが起き上がってバレッタをそっと外した。
「大事なものだから」
自分の贈ったものを大切に扱ってくれることがうれしく、レノはその日、いつもより時間をかけてヒロインを愛した。
その翌日。ヒロインより遅れて起きたレノは、ダイニングからヒロインとイリーナの声が聞こえたので足を止めた。
「そのバレッタ、すごく可愛い!」
「ありがと。レノからのプレゼントなの」
うれしそうに笑うヒロインを見ていると、こちらまでうれしくなってくる。レノは自分の髪留めに手を伸ばし、口元に笑みを浮かべた。
この願いを込めた髪留めが、どうかいつまでもお互いを守ってくれますように。
To be continued...
2021/12/31
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ヒーリンへは日が落ちる前に戻ることができた。家に車を止めてから広場に向かうと、まだそこは大賑わいだった。レノは早足でヒロインの元に向かった。
「ただいま、ヒロイン」
そっと背後から近づいて後ろから抱きしめると、ヒロインが小さく悲鳴を上げた。
「レノ、おかえ――」
「レノ先輩!どこ行ってたんですか!?ほら、まだお菓子いっぱいあるから、配るの手伝ってください!!」
ヒロインの『おかえり』を掻き消され、レノは軽くイリーナを睨んだ。
「少しぐらい休憩させろよ」
「そんな暇ないです!ほら!早く!」
ヒロインと言葉を交わす間もなくイリーナに箱を押し付けられ、レノは渋々それを受け取った。そして、結局ヒロインとは話ができないまま、日が暮れるまでお菓子配りは続いた。日が落ちて一段と冷え込んだこともあり、誰かが声をかけて、慰労会は終了となった。大量にあったお菓子はすべて無事配り終えられたのだった。
昨日に続き疲労困憊ではあったが、今日はベッドに倒れ込むわけには行かない。レノは家に戻ると、受け取った荷物を手にヒロインの部屋に向かった。
「お疲れ様。レノが作ったクッキー、大人気だったの。手伝ってくれてありがとう」
二人でソファに腰掛け、レノはヒロインの肩を抱きながら話に耳を傾けた。話を聞きながらヒロインの長く艷やかな髪を指にからませて遊んでいると、ヒロインがこちらを見上げてきた。
「どうしたの?今日は私の髪ばかり触ってるけど」
「ん?綺麗な髪だな、って」
不思議そうに首を傾げているヒロインに、レノはポケットから取り出した箱を手渡した。
「プレゼントだぞ、と」
蓋を開け、中身をヒロインに見せると、ヒロインの目が大きく開かれた。
「綺麗…」
箱の中身はバレッタだ。
「前に買い物行ったとき見てただろ?せっかくだから既製品じゃなく、特注で作ろうと思ってよ」
「この石、レノと同じ色だね」
赤とスカイブルーの石が散りばめられたバレッタを手に取ったヒロインが嬉しそうに笑った。
「オレがいなくてもヒロインを守ってくれるように、ってな」
「うれしい…似合うかな?」
ヒロインが早速バレッタで髪を留めて、それをレノの方に見せる。バレッタはヒロインの黒髪によく似合っていた。
「あぁ、似合ってるぞ、と」
「…じゃあ、私も」
そう言って立ち上がったヒロインがベッド脇のサイドラックから小さな箱を取り出し、レノにそれを手渡した。
「開けてみて」
ソファに腰掛けたヒロインがとても楽しそうに言った。レノは言われるがまま箱を開け、中身を見て目を丸くした。中には髪留めが入っていた。銀色の髪留めの端に一つディープブルーの石があしらわれていた。
「私がそばにいなくても、レノを守ってくれますように」
その石の色はヒロインの瞳と同じ色だった。レノが一瞬で心奪われたその色は、レノが一番好きな色でもあった。
「二人とも同じこと考えてたみたいね」
くすりと笑ったヒロインが、レノに後ろを向くように言った。そして、櫛でレノの髪を解くと、今つけている髪留めの代わりに新しい髪留めをつけた。ヒロインに渡された鏡で自分の髪につけられた髪留めを見てみる。使い心地は前のものと変わらないが、その端できらめく石がとても綺麗だった。
「ありがとな。大事にするぞ、と」
レノはヒロインをソファに押し倒してキスをした。軽くついばむキスをして焦らしていると、ヒロインの口が軽く開かれた。そこに舌を入れようと顔を近づけたとき、ヒロインから制止の声が上がった。いつもならここで止められることはないのだが。レノが訝しんでいると、ヒロインが起き上がってバレッタをそっと外した。
「大事なものだから」
自分の贈ったものを大切に扱ってくれることがうれしく、レノはその日、いつもより時間をかけてヒロインを愛した。
その翌日。ヒロインより遅れて起きたレノは、ダイニングからヒロインとイリーナの声が聞こえたので足を止めた。
「そのバレッタ、すごく可愛い!」
「ありがと。レノからのプレゼントなの」
うれしそうに笑うヒロインを見ていると、こちらまでうれしくなってくる。レノは自分の髪留めに手を伸ばし、口元に笑みを浮かべた。
この願いを込めた髪留めが、どうかいつまでもお互いを守ってくれますように。
To be continued...
2021/12/31
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