3-5:内緒の時間
ヒロイン
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レノが気絶してしまい、本当に二人きりになってしまった。
手持ち無沙汰のイリーナは、辺りを見回すぐらいしかすることがなかった。
すると、他の二人がいないことに気づく。まだ帰っていないのだろうか。
「ツォンさんとルード先輩は…?」
「あの二人もお休み中」
ヒロインが曖昧な笑みを浮かべた。
どうやら、この酒はヒロインが持ち込んだらしい。ティファがお試しで数本譲ってくれたのだとヒロインが言った。
最初に帰ってきたレノとルードが飲み始め、そこにツォンが混ざった。そして、一番最初にツォンが潰れ、ルードが潰れ、レノが泥酔状態になったところで、イリーナが帰ってきたのだと言う。
「イリーナが帰ってきてくれて助かったわ」
そう言って、ヒロインがまたグラスを空にした。
一体何杯目だろう。
酒豪のタークスを全員沈めた酒を飲んでも顔色一つ変わらないヒロインがそら恐ろしくなる。
「それにしても、レノが酔っ払うなんて…このお酒は封印かなぁ」
おいしいんだけど、と瓶に入った琥珀色のお酒を眺めながらヒロインが呟いた。
「レノ先輩、お酒は強いですもんね」
何度か飲みに行ったが、あそこまで酔っ払ったところは見たことがなかった。
しかもあんな――
先程のレノとヒロインを思い出し、イリーナは再び顔を赤くした。
「さ、さっきのは忘れて!普段は絶対に人前でベタベタしないって約束してるから!だから大丈夫!」
今度はヒロインが顔を真っ赤にしていた。
「二人は恋人同士だし、堂々としてたらいいんじゃないですか?」
いい年した大人が何を思春期の子どもみたいなことを言っているのかと、イリーナは少し呆れた。
「それ、レノにも言われた」
ヒロインがくすりと笑った。
「これ、私のワガママなの。タークスは、たぶん、レノにとっても、みんなにとっても家族みたいなものだと思うから。だから、『レノの恋人』ってお客様じゃなくて、ちゃんと私個人として受け入れてもらえるように頑張りたいって。こんな身体だし、みんなと同じことはできないから、上手くいってないことの方が多いけど」
少し、寂しそうにヒロインが笑った。
イリーナは、ヒロインのことをずっと異物だと感じていた。得体が知れないから恐れた。いつか、この安心できる場所が壊されてしまうのではないかと。
しかし、向き合ってみればなんのことはない。彼女は恐れる対象ではなかったのだ。
そういうフィルターを取っ払って見れば、彼女は、誰よりもお酒が強く、恥ずかしがり屋で、ちょっと怖いところもあるが、普通の女性だった。
「きっと、みんなわかってると思いますよ」
イリーナは笑顔でグラスを掲げた。
「そっか。よかった」
ヒロインもグラスを掲げると、イリーナとグラスを交わした。
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手持ち無沙汰のイリーナは、辺りを見回すぐらいしかすることがなかった。
すると、他の二人がいないことに気づく。まだ帰っていないのだろうか。
「ツォンさんとルード先輩は…?」
「あの二人もお休み中」
ヒロインが曖昧な笑みを浮かべた。
どうやら、この酒はヒロインが持ち込んだらしい。ティファがお試しで数本譲ってくれたのだとヒロインが言った。
最初に帰ってきたレノとルードが飲み始め、そこにツォンが混ざった。そして、一番最初にツォンが潰れ、ルードが潰れ、レノが泥酔状態になったところで、イリーナが帰ってきたのだと言う。
「イリーナが帰ってきてくれて助かったわ」
そう言って、ヒロインがまたグラスを空にした。
一体何杯目だろう。
酒豪のタークスを全員沈めた酒を飲んでも顔色一つ変わらないヒロインがそら恐ろしくなる。
「それにしても、レノが酔っ払うなんて…このお酒は封印かなぁ」
おいしいんだけど、と瓶に入った琥珀色のお酒を眺めながらヒロインが呟いた。
「レノ先輩、お酒は強いですもんね」
何度か飲みに行ったが、あそこまで酔っ払ったところは見たことがなかった。
しかもあんな――
先程のレノとヒロインを思い出し、イリーナは再び顔を赤くした。
「さ、さっきのは忘れて!普段は絶対に人前でベタベタしないって約束してるから!だから大丈夫!」
今度はヒロインが顔を真っ赤にしていた。
「二人は恋人同士だし、堂々としてたらいいんじゃないですか?」
いい年した大人が何を思春期の子どもみたいなことを言っているのかと、イリーナは少し呆れた。
「それ、レノにも言われた」
ヒロインがくすりと笑った。
「これ、私のワガママなの。タークスは、たぶん、レノにとっても、みんなにとっても家族みたいなものだと思うから。だから、『レノの恋人』ってお客様じゃなくて、ちゃんと私個人として受け入れてもらえるように頑張りたいって。こんな身体だし、みんなと同じことはできないから、上手くいってないことの方が多いけど」
少し、寂しそうにヒロインが笑った。
イリーナは、ヒロインのことをずっと異物だと感じていた。得体が知れないから恐れた。いつか、この安心できる場所が壊されてしまうのではないかと。
しかし、向き合ってみればなんのことはない。彼女は恐れる対象ではなかったのだ。
そういうフィルターを取っ払って見れば、彼女は、誰よりもお酒が強く、恥ずかしがり屋で、ちょっと怖いところもあるが、普通の女性だった。
「きっと、みんなわかってると思いますよ」
イリーナは笑顔でグラスを掲げた。
「そっか。よかった」
ヒロインもグラスを掲げると、イリーナとグラスを交わした。
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