3-4:おいしいコーヒー
ヒロイン
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太陽が最も高い位置に差し掛かるほんの少し前、レノはようやく目を覚ました。珍しく寝起きがいい。カーテンを開けて太陽の光を浴びながら、今日はいい日になりそうな気がすると思った。
家の中は静かだった。どうやらみんな出掛けてしまったらしい。
階下に降りる前にヒロインの部屋も覗いてみたが、ヒロインも出掛けたようだった。
「あー…学校か」
そういえば、今日は平日だったような気がする。曜日感覚が麻痺していて、完全に失念していた。起きたときはいい日になるような気もしたが、ヒロインがいないのであれば気のせいで終わりそうだ。
レノは大きな欠伸をしながら、ダイニングに向かった。
ダイニングは相変わらずきれいに片付けられていた。ヒロインは出かけるときでも掃除を欠かさない。本人曰く、みんなに気持ちよく過ごしてもらいたいから、ということらしい。ヒロインが常に家の中をきれいにしているおかげで、それまで家内美化に無頓着だった住人全員が美化意識を持つようになったのだった。
レノはキッチンカウンターに置かれていたコーヒーサーバを手にとった。重い。いつもなら昼過ぎになるとほとんど残っていないのだが。
珍しいと思いつつ、レノはカップにコーヒーを注ぎ、一口飲んだ。
「ん?」
いつもよりおいしい。一口でわかるほどに。豆でも変えたのだろうか。
首をひねっていると、玄関の方からヒロインの声が聞こえてきた。
「ただいまー。あ、レノ、おはよう」
大きなリュックを背負い、両手で紙袋を抱えたヒロインがダイニングに入ってきた。紙袋の陰から少し覗くヒロインの顔は上気しており、少し息を切らしている。
レノはヒロインに駆け寄り、紙袋を受け取った。それは女性が持つには少し重い。
「買い出し行くなら声かけてくれよ、と」
ずしりとしたそれを、レノはダイニングテーブルに置いた。中を見ると、いくつか瓶が入っていた。重いはずである。
「ありがとう。お店の人にオススメされて、つい買い過ぎちゃた」
おまけもしてもらったけど、と言って、ヒロインが紙袋から袋詰にされたドライフルーツを取り出した。
「今日はこれでパウンドケーキでも作ろうかな」
ヒロインはご機嫌な様子で他の荷物も紙袋から取り出していた。バターや小麦粉など、パウンドケーキの材料がキッチンカウンターに並んでいく。鼻歌でも歌い出しそうなほど楽しそうな様子のヒロインを、レノはコーヒーを飲みながら笑顔で眺めていた。
材料を並べ終えたヒロインがレノの方を振り返った。その視線がコーヒーカップに向かう。レノもつられて手元のカップに視線を落とした。
「ね、どう?美味しい?」
「うわ」
急に下からヒロインに覗き込まれたレノは驚いて仰け反った。カップの中の残り少ないコーヒーが大きく揺れた。
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家の中は静かだった。どうやらみんな出掛けてしまったらしい。
階下に降りる前にヒロインの部屋も覗いてみたが、ヒロインも出掛けたようだった。
「あー…学校か」
そういえば、今日は平日だったような気がする。曜日感覚が麻痺していて、完全に失念していた。起きたときはいい日になるような気もしたが、ヒロインがいないのであれば気のせいで終わりそうだ。
レノは大きな欠伸をしながら、ダイニングに向かった。
ダイニングは相変わらずきれいに片付けられていた。ヒロインは出かけるときでも掃除を欠かさない。本人曰く、みんなに気持ちよく過ごしてもらいたいから、ということらしい。ヒロインが常に家の中をきれいにしているおかげで、それまで家内美化に無頓着だった住人全員が美化意識を持つようになったのだった。
レノはキッチンカウンターに置かれていたコーヒーサーバを手にとった。重い。いつもなら昼過ぎになるとほとんど残っていないのだが。
珍しいと思いつつ、レノはカップにコーヒーを注ぎ、一口飲んだ。
「ん?」
いつもよりおいしい。一口でわかるほどに。豆でも変えたのだろうか。
首をひねっていると、玄関の方からヒロインの声が聞こえてきた。
「ただいまー。あ、レノ、おはよう」
大きなリュックを背負い、両手で紙袋を抱えたヒロインがダイニングに入ってきた。紙袋の陰から少し覗くヒロインの顔は上気しており、少し息を切らしている。
レノはヒロインに駆け寄り、紙袋を受け取った。それは女性が持つには少し重い。
「買い出し行くなら声かけてくれよ、と」
ずしりとしたそれを、レノはダイニングテーブルに置いた。中を見ると、いくつか瓶が入っていた。重いはずである。
「ありがとう。お店の人にオススメされて、つい買い過ぎちゃた」
おまけもしてもらったけど、と言って、ヒロインが紙袋から袋詰にされたドライフルーツを取り出した。
「今日はこれでパウンドケーキでも作ろうかな」
ヒロインはご機嫌な様子で他の荷物も紙袋から取り出していた。バターや小麦粉など、パウンドケーキの材料がキッチンカウンターに並んでいく。鼻歌でも歌い出しそうなほど楽しそうな様子のヒロインを、レノはコーヒーを飲みながら笑顔で眺めていた。
材料を並べ終えたヒロインがレノの方を振り返った。その視線がコーヒーカップに向かう。レノもつられて手元のカップに視線を落とした。
「ね、どう?美味しい?」
「うわ」
急に下からヒロインに覗き込まれたレノは驚いて仰け反った。カップの中の残り少ないコーヒーが大きく揺れた。
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