3-3:兆し
ヒロイン
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レノが車を降りると、ヒロインは後部座席に移動し、横になった。車の窓ガラスにはスモークが貼られているし、身体も前の座席の陰に隠れている。余程顔を近づけて覗き込まれない限り、そこに人がいるとはわからないだろう。
ヒロインは耳をすませ、不測の事態に対処できるように努めた。
どれぐらい経っただろう。廃材置き場周辺は、とても静かだった。静寂で耳が痛くなるほどだ。
ヒロインは少し身体を起こすと、窓から外を見た。
車を停めた周辺は街灯もないため、夜闇が広がるばかりで何も見えなかった。
(レノ、大丈夫かな…)
無事を祈ることしかできないのがもどかしい。
――…けた
ヒロインは辺りを見回した。もう一度、窓の外も見てみたが、人の気配はない。
気味が悪い。
(まさか、ね…)
ふと、『幽霊』という言葉が脳裏に浮かんだが、ヒロインは頭を振ってその考えを払い飛ばした。幽霊なんているわけがない。
気のせいだろうと思い、ヒロインは再び後部座席に横になろうと身体を倒した。
――見つけた…!
今度ははっきりと。耳…いや、頭に響く声。
(どこに…)
――覚えているか?
「っああああああ!」
突然、腰のあたりに鋭い痛みが走った。それは入れ墨があった辺り。セフィロスに貫かれた場所だった。
ヒロインは歯を食いしばり、車のシートの角を掴んだ。
――直接触れられないというのは、もどかしいものだな
ヒロインははっとした。この声は…
「セフィ…」
そこでヒロインの意識はブツリと途切れた。
ヒロインははっとして目を開いた。
「痛く、ない…」
指先で腰のあたりをなぞった。そこは、あのときセフィロスに貫かれた傷しかなかった。血が出たりしているわけでもない。
夢でも見たのかと思ったが、あの痛みが夢であるようには思えなかった。
細く長いものが身体を貫く、あのときの感触を忘れるはずがない。
「見つけた、か…」
声の主は間違いなく――
そこまで考えたところで、ヒロインは大きく頭を振った。名前を口に出してしまうと、本当に『彼』が現れそうな気がした。
(きっとあれは悪い夢だから…)
ヒロインは不安な気持ちを心の奥底に閉じ込めた。
.
ヒロインは耳をすませ、不測の事態に対処できるように努めた。
どれぐらい経っただろう。廃材置き場周辺は、とても静かだった。静寂で耳が痛くなるほどだ。
ヒロインは少し身体を起こすと、窓から外を見た。
車を停めた周辺は街灯もないため、夜闇が広がるばかりで何も見えなかった。
(レノ、大丈夫かな…)
無事を祈ることしかできないのがもどかしい。
――…けた
ヒロインは辺りを見回した。もう一度、窓の外も見てみたが、人の気配はない。
気味が悪い。
(まさか、ね…)
ふと、『幽霊』という言葉が脳裏に浮かんだが、ヒロインは頭を振ってその考えを払い飛ばした。幽霊なんているわけがない。
気のせいだろうと思い、ヒロインは再び後部座席に横になろうと身体を倒した。
――見つけた…!
今度ははっきりと。耳…いや、頭に響く声。
(どこに…)
――覚えているか?
「っああああああ!」
突然、腰のあたりに鋭い痛みが走った。それは入れ墨があった辺り。セフィロスに貫かれた場所だった。
ヒロインは歯を食いしばり、車のシートの角を掴んだ。
――直接触れられないというのは、もどかしいものだな
ヒロインははっとした。この声は…
「セフィ…」
そこでヒロインの意識はブツリと途切れた。
ヒロインははっとして目を開いた。
「痛く、ない…」
指先で腰のあたりをなぞった。そこは、あのときセフィロスに貫かれた傷しかなかった。血が出たりしているわけでもない。
夢でも見たのかと思ったが、あの痛みが夢であるようには思えなかった。
細く長いものが身体を貫く、あのときの感触を忘れるはずがない。
「見つけた、か…」
声の主は間違いなく――
そこまで考えたところで、ヒロインは大きく頭を振った。名前を口に出してしまうと、本当に『彼』が現れそうな気がした。
(きっとあれは悪い夢だから…)
ヒロインは不安な気持ちを心の奥底に閉じ込めた。
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