3-2:信頼
ヒロイン
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
その後もヒロインはレノにほとんど目をくれることなく忙しそうに動き回っていた。
レノはそれを不貞腐れた顔で見ていた。
「ごめんね、お待たせ。行ってきまーす!」
全て用事を済ませたらしく、ヒロインは大きなカバンを持って少年と一緒に出かけていった。
「『行ってきまーす』じゃないぞ、と」
柱に背を預け、浮かれた様子のヒロインを見送ったレノは乱暴にタバコを取り出し、それをくわえた。
火を点け、一吸いしたところでレノははっとした。
「そういや、どこに行ったんだ?」
肝心なことを聞き忘れていた。
少年と一緒ならば、ヒーリンから出ることはないだろう。
しかし、あの二人が一緒に行くような場所など、ここにあっただろうか?
レノはタバコのことなどすっかり忘れ、考えに耽った。
「灰が落ちるぞ」
掛けられた声にはっとし、レノは慌てて手にしていたタバコを灰皿に押しつけた。
「何をぼーっとしている」
「社長…いや、ヒロインがさっきガ――子供と出ていったんすよ」
そうレノが言うと、ローブに隠れていないルーファウスの口元に笑みが浮かんだ。
表情全ては窺えないが、とても楽しげであることはレノにも伝わった。
「ヒロインなら、学校だろう」
「学校!?」
レノはすっとんきょうな声を上げた。
『学校』――この年になって再びその言葉を聞くとは。
「一度ヒロインに学校へ備品を運んでもらったことがあってな。その時に興味を持ったらしい」
「でも何で…」
「昔きちんと通えなかったから、やり直したいそうだ。お前も理解してやれ」
ルーファウスに言われ、レノはヒロインの過去を思い出した。
幼くして自由を奪われ、当たり前のことができなかったヒロイン。
失われた時を、可能ならばやり直したいと思うのは当然かもしれない。
レノは玄関に目をやり、拳を握り締めた。
.
レノはそれを不貞腐れた顔で見ていた。
「ごめんね、お待たせ。行ってきまーす!」
全て用事を済ませたらしく、ヒロインは大きなカバンを持って少年と一緒に出かけていった。
「『行ってきまーす』じゃないぞ、と」
柱に背を預け、浮かれた様子のヒロインを見送ったレノは乱暴にタバコを取り出し、それをくわえた。
火を点け、一吸いしたところでレノははっとした。
「そういや、どこに行ったんだ?」
肝心なことを聞き忘れていた。
少年と一緒ならば、ヒーリンから出ることはないだろう。
しかし、あの二人が一緒に行くような場所など、ここにあっただろうか?
レノはタバコのことなどすっかり忘れ、考えに耽った。
「灰が落ちるぞ」
掛けられた声にはっとし、レノは慌てて手にしていたタバコを灰皿に押しつけた。
「何をぼーっとしている」
「社長…いや、ヒロインがさっきガ――子供と出ていったんすよ」
そうレノが言うと、ローブに隠れていないルーファウスの口元に笑みが浮かんだ。
表情全ては窺えないが、とても楽しげであることはレノにも伝わった。
「ヒロインなら、学校だろう」
「学校!?」
レノはすっとんきょうな声を上げた。
『学校』――この年になって再びその言葉を聞くとは。
「一度ヒロインに学校へ備品を運んでもらったことがあってな。その時に興味を持ったらしい」
「でも何で…」
「昔きちんと通えなかったから、やり直したいそうだ。お前も理解してやれ」
ルーファウスに言われ、レノはヒロインの過去を思い出した。
幼くして自由を奪われ、当たり前のことができなかったヒロイン。
失われた時を、可能ならばやり直したいと思うのは当然かもしれない。
レノは玄関に目をやり、拳を握り締めた。
.