2-22:絆
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世界が救われ、数週間が経った。
あちこちで混乱が起きていたが、初めの数日に比べれば、幾分それもましになっていた。
五番街に戻ってきていたレノは、手が空くたびにスラムの教会やステーションに向かった。
ヒロインが戻ってくるならば、どちらかだろうと予測して。
そして、いつヒロインが帰ってきてもいいように、メッセージも毎日残していた。
しかし、その行為は一向に報われる様子がなく、同じことを繰り返すだけの虚しさがレノに蓄積されていった。
ヒロインは死んだ。
考えないようにはしていたが、常にその思いはあった。
一度ヒロインの記憶が消えかかり、元に戻った時は、ヒロインが生きていることを確信していた。
しかし、こうも戻らない日が続くと、どんな強固な想いも揺らいでくる。
「いつ戻ってくるんだ?なぁ、ヒロイン…」
夜、スラムの教会のベンチに腰を下ろしていたレノは、空を見上げて呟いた。
破れた屋根と天井の隙間から、星が見える。
ミッドガルが街としての機能を果たしていた頃は、見ることができなかったものだ。
レノは柄にもなく祈った。
今日こそヒロインが帰ってくるように、と。
だが、今日も願いが叶うことはなさそうだった。
「…帰るか」
静まり返った教会にレノの声が響き渡る。
レノは諦めて立ち上がった。
ギィー…
この静寂を尊重するかのように遠慮がちに響いた音が鳴った入口に視線を向けた。
その目は、すぐに大きく見開かれた。
「やっぱり、ここだと思った」
「ヒロイン!」
レノは名を呼ぶと同時にヒロインに駆け寄り、その身体を抱き締めた。
「遅いぞ、と」
「ごめんなさい。でも、約束は守ったでしょ」
悪戯っぽく笑うヒロインに何度も頷くと、レノは顔を上げた。
「もう消えるなんて言うな」
「うん、約束」
レノはヒロインと小指を絡めた。
その時、ヒロインが小さく口を動かした。
聞き返そうとしたレノの口に、ヒロインの人差し指が当たる。
ヒロインがふわりと微笑み、レノに口づけた。
レノはその優しい口づけを受けながら、ゆっくりと目を閉じた。
これから、ずっと一緒にいられる幸せを感じながら。
END
2009/08/24
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あちこちで混乱が起きていたが、初めの数日に比べれば、幾分それもましになっていた。
五番街に戻ってきていたレノは、手が空くたびにスラムの教会やステーションに向かった。
ヒロインが戻ってくるならば、どちらかだろうと予測して。
そして、いつヒロインが帰ってきてもいいように、メッセージも毎日残していた。
しかし、その行為は一向に報われる様子がなく、同じことを繰り返すだけの虚しさがレノに蓄積されていった。
ヒロインは死んだ。
考えないようにはしていたが、常にその思いはあった。
一度ヒロインの記憶が消えかかり、元に戻った時は、ヒロインが生きていることを確信していた。
しかし、こうも戻らない日が続くと、どんな強固な想いも揺らいでくる。
「いつ戻ってくるんだ?なぁ、ヒロイン…」
夜、スラムの教会のベンチに腰を下ろしていたレノは、空を見上げて呟いた。
破れた屋根と天井の隙間から、星が見える。
ミッドガルが街としての機能を果たしていた頃は、見ることができなかったものだ。
レノは柄にもなく祈った。
今日こそヒロインが帰ってくるように、と。
だが、今日も願いが叶うことはなさそうだった。
「…帰るか」
静まり返った教会にレノの声が響き渡る。
レノは諦めて立ち上がった。
ギィー…
この静寂を尊重するかのように遠慮がちに響いた音が鳴った入口に視線を向けた。
その目は、すぐに大きく見開かれた。
「やっぱり、ここだと思った」
「ヒロイン!」
レノは名を呼ぶと同時にヒロインに駆け寄り、その身体を抱き締めた。
「遅いぞ、と」
「ごめんなさい。でも、約束は守ったでしょ」
悪戯っぽく笑うヒロインに何度も頷くと、レノは顔を上げた。
「もう消えるなんて言うな」
「うん、約束」
レノはヒロインと小指を絡めた。
その時、ヒロインが小さく口を動かした。
聞き返そうとしたレノの口に、ヒロインの人差し指が当たる。
ヒロインがふわりと微笑み、レノに口づけた。
レノはその優しい口づけを受けながら、ゆっくりと目を閉じた。
これから、ずっと一緒にいられる幸せを感じながら。
END
2009/08/24
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