2-22:絆
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暗い。
さっきまで、明るかったはずなのに。
その理由を、ヒロインは一つだけ知っていた。
「死んだのね、私…」
実際に声に出すと、胸が苦しくなった。
泣き出したいような気分だった。
でも、涙は出なかった。
悲しいはずなのに。
寂しいはずなのに。
「約束…また、破っちゃった…」
戻ると言ったのに。
そう約束したのに。
「あぁ、バイクも…返せないわ…」
レノが大事にしていたバイクも、忘らるる都の入口に置いたままだ。
いろいろな約束を果たせなくなってしまった。
レノは、きっと怒るだろう。
そして、時間が経てば、きっと悲しみに打ち拉がれる。
それは辛くて、痛い。
「でも、忘れないで…私がいたことを」
しかし、そう望んでいいのだろうか。
残された思いは、強い呪となって残された者を縛り付ける。
それが強ければ強いほど、歪んだ形を取り、ひどく深く心に打ち込まれた挙げ句、抜けなくなる。
レノの心が、ぼろぼろになるまで蝕み続けることだろう。
「違う…」
ヒロインは首を振った。
残された思いの痛みを、自分は知っているはずだ。
レノに同じ痛みを与えてはいけない。
「忘れた方がいいことだってある…よね」
レノに一生消えない傷を負わすぐらいなら、いっそ存在しなかったものとして、全部自分と一緒に消えた方がいい。
「レノには、新しい世界で幸せになってほしいから」
ヒロインの手のひらがぽうっと輝いた。
これが、正真正銘最期の力だ。
自分の存在を消すための力。
「さよなら…レノ」
上っていく光に照らされたヒロインの目頭が、小さく光った。
「消えるのが、こんなに寂しいなんて…知らなかった――」
力強く輝いた光が、ヒロインの姿を掻き消した。
.
さっきまで、明るかったはずなのに。
その理由を、ヒロインは一つだけ知っていた。
「死んだのね、私…」
実際に声に出すと、胸が苦しくなった。
泣き出したいような気分だった。
でも、涙は出なかった。
悲しいはずなのに。
寂しいはずなのに。
「約束…また、破っちゃった…」
戻ると言ったのに。
そう約束したのに。
「あぁ、バイクも…返せないわ…」
レノが大事にしていたバイクも、忘らるる都の入口に置いたままだ。
いろいろな約束を果たせなくなってしまった。
レノは、きっと怒るだろう。
そして、時間が経てば、きっと悲しみに打ち拉がれる。
それは辛くて、痛い。
「でも、忘れないで…私がいたことを」
しかし、そう望んでいいのだろうか。
残された思いは、強い呪となって残された者を縛り付ける。
それが強ければ強いほど、歪んだ形を取り、ひどく深く心に打ち込まれた挙げ句、抜けなくなる。
レノの心が、ぼろぼろになるまで蝕み続けることだろう。
「違う…」
ヒロインは首を振った。
残された思いの痛みを、自分は知っているはずだ。
レノに同じ痛みを与えてはいけない。
「忘れた方がいいことだってある…よね」
レノに一生消えない傷を負わすぐらいなら、いっそ存在しなかったものとして、全部自分と一緒に消えた方がいい。
「レノには、新しい世界で幸せになってほしいから」
ヒロインの手のひらがぽうっと輝いた。
これが、正真正銘最期の力だ。
自分の存在を消すための力。
「さよなら…レノ」
上っていく光に照らされたヒロインの目頭が、小さく光った。
「消えるのが、こんなに寂しいなんて…知らなかった――」
力強く輝いた光が、ヒロインの姿を掻き消した。
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