家に着くと、レノはヒロインをベッドに寝かせた。




　手を握っても、顔に触れても、全く反応がない。





　このまま、ヒロインの意識が戻らないのでは…？





　レノは一抹の不安を抱いた。




　床に膝を付き、レノはヒロインの手を両手で包み込むように握った。






「ヒロインっ…！」







　レノは絞りだすような声でヒロインに呼び掛けた。
































「レ、ノ…？」




　レノの呼び掛けに応えるかのように、ヒロインの口が動いた。




　はっとして、レノはさらにヒロインを呼ぶ。




「おい！ヒロイン、目覚ませ！！」






　ぎゅっと力を入れ、ヒロインの小さな手を握る。



「うっ……嫌…行かない――戻りたくな、い…‥」




　うなされているのか、ひどく辛そうな顔をしているヒロインの額に汗が浮く。





「ヒロイン、俺がついてる」




　レノは静かにそう言うと、まるで子供をあやすかのように、ヒロインの髪を優しく撫でた。




　次第にヒロインの表情が安らいだものになり。







「レノ…手、痛い」





　ヒロインがうっすらと目を開き、擦れた声で言った。






「ヒロイン、大丈夫か？」



　レノが問い掛けると、ヒロインは小さく頷いた。


　それを見て、レノは胸を撫で下ろし、握っていた手から力を抜いた。




　ヒロインが意識を取り戻したことで、固まっていたレノの表情も穏やかなものになった。



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