2-22:絆
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ヒロインとレノは、レノの自宅マンションに向かっていた。
ヒロインの格好があまりにも酷かったからだ。
ヒロインがレノのジャケットを羽織った姿は、5年前のあの日と同じ。
向かう先も同じ。
あの時と同じね。
ヒロインはそう言おうとしたが、止めた。
懐かしいが、寂しい。
心を締め付けるような感情が溢れ出す。
抑えきれなかった分が、涙として現れた。
ヒロインはレノに気付かれないよう、こっそり涙を拭った。
辿り着いたマンションは、無傷のまま残っていた。
何も変わっていない。
生活臭のないレノの部屋も、そのままだ。
ヒロインは5年前に戻ったような錯覚に陥った。
何も知らなかったあの頃は、自由への希望でいっぱいだった。
今は――
「ほら、風呂入ってこいよ」
声を掛けられたヒロインは、思考を途中で切った。
そして、レノの言葉を反芻する。
また、5年前と同じ。
ここまで過去と重なると、なんだか可笑しくなってくる。
そんな余裕が生まれたおかげで、ヒロインの口から自然と言葉が飛び出した。
「一緒に入る?」
ヒロインの返しで、レノも気付いたようだ。
二人で顔を見合わせ、吹き出した。
「…5年前にも言ったな」
「うん」
「実はあの時、かなり緊張してたんだぞ、と」
レノが苦笑いしながら、頭を掻いた。
意外な一面だった。
レノは百戦錬磨だと思っていたが。
「ヒロインは、どうだったんだ?」
突然自分に話が向かい、ヒロインは目を瞬いた。
「私は――私も、ドキドキしてた」
ヒロインは一つ一つ、ゆっくりと記憶を辿った。
そう。
レノに会ってから、ずっとそうだった。
緊張で倒れそうだった。
でも、目が合うだけで、話せるだけで嬉しかった。
「一目惚れ、してたみたい」
「…たぶん、俺も」
二人は、また顔を見合せて笑った。
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ヒロインの格好があまりにも酷かったからだ。
ヒロインがレノのジャケットを羽織った姿は、5年前のあの日と同じ。
向かう先も同じ。
あの時と同じね。
ヒロインはそう言おうとしたが、止めた。
懐かしいが、寂しい。
心を締め付けるような感情が溢れ出す。
抑えきれなかった分が、涙として現れた。
ヒロインはレノに気付かれないよう、こっそり涙を拭った。
辿り着いたマンションは、無傷のまま残っていた。
何も変わっていない。
生活臭のないレノの部屋も、そのままだ。
ヒロインは5年前に戻ったような錯覚に陥った。
何も知らなかったあの頃は、自由への希望でいっぱいだった。
今は――
「ほら、風呂入ってこいよ」
声を掛けられたヒロインは、思考を途中で切った。
そして、レノの言葉を反芻する。
また、5年前と同じ。
ここまで過去と重なると、なんだか可笑しくなってくる。
そんな余裕が生まれたおかげで、ヒロインの口から自然と言葉が飛び出した。
「一緒に入る?」
ヒロインの返しで、レノも気付いたようだ。
二人で顔を見合わせ、吹き出した。
「…5年前にも言ったな」
「うん」
「実はあの時、かなり緊張してたんだぞ、と」
レノが苦笑いしながら、頭を掻いた。
意外な一面だった。
レノは百戦錬磨だと思っていたが。
「ヒロインは、どうだったんだ?」
突然自分に話が向かい、ヒロインは目を瞬いた。
「私は――私も、ドキドキしてた」
ヒロインは一つ一つ、ゆっくりと記憶を辿った。
そう。
レノに会ってから、ずっとそうだった。
緊張で倒れそうだった。
でも、目が合うだけで、話せるだけで嬉しかった。
「一目惚れ、してたみたい」
「…たぶん、俺も」
二人は、また顔を見合せて笑った。
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