「ヒロイン！！」



　レノは、見た。



　セフィロスの指が、深々とヒロインの身体に突き刺さるのを。





　まるで、悪夢のような光景だった。





　レノ自身も、神羅の面々もクラウドたちも、その場にいた全員が凍り付いた。





　セフィロスは指を抜くと、まるでゴミでも捨てるかのようにヒロインを投げた。





　ふわりとヒロインの身体が宙に投げ出された。



　一番早く我に返ったのはレノだった。



　レノはその俊足を生かし、ヒロインが地面に激突する寸前で受け止めた。



「ヒロイン！！」



　その呼び掛けに応えるように、ヒロインが首を動かした。



　レノはほっとして緊張を解いた。



　生きている。



「ヒロイン、わかるか？」



　レノは、この時初めてヒロインの顔を見つめた。





「うそ…だろ？ヒロイン…？」





　ヒロインの目は、とても生きているとは言えなかった。



　焦点が、合っていない。



「じ、冗談…やめろよ、と」



　震えが、止まらない。



　レノは軽くヒロインの身体を揺さ振った。



　しかし、首ががくがくと揺れるだけで、ヒロインは何一つ反応を示さなかった。





　認めたくない一つの答えが、レノの脳裏を過った。





　それは、死。





「ヒロイン！！」



　名前を呼んでも、反応しない。



　身体を揺すっても、その目は現実を見てはいなかった。



　そして、これで最期とばかりに、ヒロインの目から涙が流れた。



「…ヒロイン？」



　ヒロインが、ゆっくりと目を閉じた。





「ヒロイン！！」



　レノの叫びが、辺りに響いた。



To be continued...


2009/03/29


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