あの後、なかなか戻らないヒロインを心配し、探しに出たレノが倒れているヒロインを発見した。




「ヒロインちゃん、大丈夫か？」



　すっかり酔いの覚めたザックスが覗き込む。



　ヒロインの様子からして、酒を飲み過ぎて倒れたとは考えにくい。




　血の気を失い、真っ白な顔をしているヒロインを見てさすがに心配になったが、とりあえず弱々しくも規則正しい呼吸を刻んでいるので大丈夫だろうと判断する。






「悪ぃな、先帰らせてもらうぞ、と」




　レノは意識のないヒロインを抱き上げて歩きだした。





　すれ違いざま、レノは新人ソルジャーを軽く睨みつけた。



　それを気にもしていないのか、新人ソルジャーが心配そうに声を掛けてきた。




「大したことないといいですね」




　新人ソルジャーの言葉があまりにも白々しく聞こえ、レノは一瞥もせずに店を出た。













（あいつ、ヒロインに何をしたんだ？）




　女との口論が終わり、しばらくして戻ってきた新人ソルジャーはどこか様子がおかしかった。



　本人は平静を装っていたが、仕草の端々に苛立ちが見えていた。



　そして、ヒロインが倒れているのを見つけたときに一瞬だけ見せた、にやっと口元を歪ませたいやらしい笑い。





　新人ソルジャーがヒロインに何かしたのは間違いないだろう。




　レノは苛立たしげに舌打ちをした。






　依然としてヒロインは目を覚まさない。






「ヒロイン…俺が、守ってやるからな」



.