2-20:破滅
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ダメ!」
今まさにヒロインの手から魔法が放たれようとしたその時だった。
ヒロインが、自ら攻撃を止めた。
収束した魔力がヒロインへと帰っていく。
「レノは、殺させない…」
息も絶え絶えにヒロインが呟いた。
「約束、してるから…」
無理して笑ってみせたヒロインだったが、次の瞬間、胸を押さえてその場に倒れこんだ。
「ヒロイン!」
いつの間にかヒロインから発せられていたまがまがしい気配が消えている。
レノは倒れたヒロインに駆け寄った。
ヒロインは、浅い呼吸を短いサイクルで繰り返していた。
胸元の服を握り締めた手は白く、強張っている。
その姿は、何かを押さえ付けているかのようだった。
「ヒロイン、大丈夫か?」
ヒロインを抱き起こしたレノは、強く握られたヒロインの拳を包み込むように手を置いた。
「!」
反射的にレノは手を引いた。
ヒロインの手は、氷水に浸けていたかのような冷たさだった。
生きた人間の体温とは思えない。
よく見れば、ヒロインの肌は降り積もった雪のように真っ白だった。
それは、よく知った白さでもあった。
死者によく似た――
「ヒロイン…?」
声が、震えた。
ヒロインの姿が霞む。
苦しい中で、それでも懸命に微笑むヒロインの姿は、健気だった。
「レノ、聞いて…」
「もう、しゃべるなよ、と」
ヒロインは首を振った。
「大事な、こと…私の力、使わせない、で…」
「喋り過ぎだ、ヒロイン…」
この北の大地に舞う風より冷たい声が吹き抜けた。
途端に腕がふっと軽くなる。
「ヒロイン!?」
忽然と消えたヒロインを探し、レノは方々を見回した。
「さぁ、お前の力を――」
声が遠ざかっていく。
「ヒロイン!」
レノは立ち上がると、声を追い掛けた。
.
今まさにヒロインの手から魔法が放たれようとしたその時だった。
ヒロインが、自ら攻撃を止めた。
収束した魔力がヒロインへと帰っていく。
「レノは、殺させない…」
息も絶え絶えにヒロインが呟いた。
「約束、してるから…」
無理して笑ってみせたヒロインだったが、次の瞬間、胸を押さえてその場に倒れこんだ。
「ヒロイン!」
いつの間にかヒロインから発せられていたまがまがしい気配が消えている。
レノは倒れたヒロインに駆け寄った。
ヒロインは、浅い呼吸を短いサイクルで繰り返していた。
胸元の服を握り締めた手は白く、強張っている。
その姿は、何かを押さえ付けているかのようだった。
「ヒロイン、大丈夫か?」
ヒロインを抱き起こしたレノは、強く握られたヒロインの拳を包み込むように手を置いた。
「!」
反射的にレノは手を引いた。
ヒロインの手は、氷水に浸けていたかのような冷たさだった。
生きた人間の体温とは思えない。
よく見れば、ヒロインの肌は降り積もった雪のように真っ白だった。
それは、よく知った白さでもあった。
死者によく似た――
「ヒロイン…?」
声が、震えた。
ヒロインの姿が霞む。
苦しい中で、それでも懸命に微笑むヒロインの姿は、健気だった。
「レノ、聞いて…」
「もう、しゃべるなよ、と」
ヒロインは首を振った。
「大事な、こと…私の力、使わせない、で…」
「喋り過ぎだ、ヒロイン…」
この北の大地に舞う風より冷たい声が吹き抜けた。
途端に腕がふっと軽くなる。
「ヒロイン!?」
忽然と消えたヒロインを探し、レノは方々を見回した。
「さぁ、お前の力を――」
声が遠ざかっていく。
「ヒロイン!」
レノは立ち上がると、声を追い掛けた。
.