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2-20:破滅

ヒロイン

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ヒロイン

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白の研究所の生き残り

「少しは落ち着いたか?」



 飛空艇のラウンジでタバコを吹かしていたレノに、影が落ちた。



 レノは首だけ振り向き、相手を確認した。



「…ルードか」



 一瞥し、レノは視線を空に彷徨わせた。



 何かを見つめるわけではない。



 ただ、ヒロインがいるだろうどこか遠くを見ていた。





「…ツォンさんは?」



 高ぶっていた気持ちが落ち着いて初めて、レノはツォンがいなかったことに気付いた。



 やはり、傷が深いのだろうか。



「…入院している。しばらく職場復帰は、無理らしい」



「そうか」



 レノは煙を吐き出した。



「…エアリスは、何で死んだんだ?」



「セフィロスに殺されたらしい。ケット・シー――リーブ統括からの情報だ。間違いないだろう」



 エアリスは、特に仲が良かったわけではない。



 むしろ反目し合っていた仲だ。



 死を悲しむ間柄ではなかった。



 しかし、レノは親友が愛した女性――エアリスの安らかな眠りを祈った。



 おそらく、ヒロインもそうしただろうから。



「ザックスが死に、エアリスも、か」



 昔を知る人は、もう数えるぐらいしかいない。



 皆、死んでいった。



 レノは、短くなったタバコを灰皿に押し付け、立ち上がった。





「聞かないのか?」



 ルードから投げられた言葉に、レノは足を止めた。



ヒロインのことを」



「聞いたところで何も変わらないだろ」



 レノは吐き捨てるように言い、ラウンジを出た。



 ルードの方を振り返りもせずに。





 聞いたところで、状況は変わらない。



 ヒロインが攫われた事実も、『処理』しなければならないことも。





(5年前と同じだ…)





 ヒロインと任務、どちらを取るか。



 突き付けられた問題は、全く同じだった。



 しかし、答えはまだ出ていない。



(俺は…)



 どちらかも、選べない。



 レノのきつく握られた拳が震えた。



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