2-19:喪失
ヒロイン
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建物に入ってすぐ目についたのは、下へと続くクリスタルの螺旋階段だった。
ヒロインは躊躇わずに手摺りに手を掛け、小走りに階段を下りた。
クリスタルの階は自ら輝き、ヒロインを階下へと導いた。
そこは、地上より寒く、さらに静かだった。
ぴんと張り詰めた空気は、微動だにしない。
それとは対照的に、ヒロインの心は不安と恐怖で震えていた。
焦りはなかった。
その代わりに生まれたのは、予感。
ヒロインの瞳から、涙が一筋零れた。
「何、これ…?」
「クラウド!!」
突然、大気を震わせた絶叫に、ヒロインは我に返った。
「ティファ!?」
ガン――!
ティファの声に続き、何か重たい物が、固い物にぶつかる音が響く。
ヒロインは音の方に走った。
ヒロインの目に飛び込んできたのは、祭壇。
そして、祈りを捧げるエアリスと、剣の柄を握り項垂れるクラウドだった。
何が起こったのかは、わからない。
ただ、エアリスが無事でよかった。
そう思った。
ヒロインは祭壇の際で足を止め、ほっと表情を和らげた。
「エア――」
エアリスが、ふわりと微笑んだ。
それは、5年前の教会でヒロインに向けられたものと同じだった。
懐かしいような、切ないような――
胸が、苦しい。
どうしてだろう。
堪らなく、痛い。
「別れは済ませたか?」
その声に反応することも、その後に起こったことを止めることも、できなかった。
ただ、見ていることしか、できなかった。
祭壇の真上に現れたセフィロス。
その手に握られた、真下に刃先を向けた刀。
それは、音もなく、エアリスを貫いた。
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ヒロインは躊躇わずに手摺りに手を掛け、小走りに階段を下りた。
クリスタルの階は自ら輝き、ヒロインを階下へと導いた。
そこは、地上より寒く、さらに静かだった。
ぴんと張り詰めた空気は、微動だにしない。
それとは対照的に、ヒロインの心は不安と恐怖で震えていた。
焦りはなかった。
その代わりに生まれたのは、予感。
ヒロインの瞳から、涙が一筋零れた。
「何、これ…?」
「クラウド!!」
突然、大気を震わせた絶叫に、ヒロインは我に返った。
「ティファ!?」
ガン――!
ティファの声に続き、何か重たい物が、固い物にぶつかる音が響く。
ヒロインは音の方に走った。
ヒロインの目に飛び込んできたのは、祭壇。
そして、祈りを捧げるエアリスと、剣の柄を握り項垂れるクラウドだった。
何が起こったのかは、わからない。
ただ、エアリスが無事でよかった。
そう思った。
ヒロインは祭壇の際で足を止め、ほっと表情を和らげた。
「エア――」
エアリスが、ふわりと微笑んだ。
それは、5年前の教会でヒロインに向けられたものと同じだった。
懐かしいような、切ないような――
胸が、苦しい。
どうしてだろう。
堪らなく、痛い。
「別れは済ませたか?」
その声に反応することも、その後に起こったことを止めることも、できなかった。
ただ、見ていることしか、できなかった。
祭壇の真上に現れたセフィロス。
その手に握られた、真下に刃先を向けた刀。
それは、音もなく、エアリスを貫いた。
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