2-19:喪失
ヒロイン
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足を踏み入れた森は、不思議なところだった。
霞に光が反射して、きらきらと輝く様は、とても幻想的であり、それでいて脆さを秘めた美しさだった。
視界は決してよくなかった。
しかし、ヒロインには進むべき方向がはっきり見えており、導かれるように進んだ。
森を抜けた先は、さらに俗界を離れたような神秘さを湛えていた。
しかし、生命が死に絶えた場所でもあった。
白樺に見えたのは、化石化した木。
建造物も、巨大な貝殻の化石だった。
触れば簡単に崩れ落ちた。
「まるで、死の世界ね」
美しいが冷たい。
ヒロインはうすら寒いものを感じ、足早に通り過ぎようとした。
――無駄な足掻きを
突然、頭に響いた声。
あの嘲笑するような声音を間違えるはずがない。
「セフィロス…!」
ヒロインは辺りを見回した。
しんと静まり返った森は、何も動かない。
それとは反対に、ヒロインの心は大きく波立った。
(一体、どこに…)
ヒロインは、ふと視界に入った建物に目を留めた。
――茶番は終わりだ
セフィロスが、刀を抜いた。
「やめて!」
ヒロインの叫びは、辺り一帯を震わせた。
それと同時に、セフィロスは消えた。
消える寸前、妖しげな笑みを浮かべて。
それは、幻と言い切るには、あまりにはっきりした映像だった。
セフィロスがヒロインに対して意図的に見せたと考えるのが自然だった。
「止めなきゃ…もう、あの時と同じ思いは――」
血塗れで倒れた――
「――誰…?あの時…?」
瞬きと同時に消えた記憶。
それは一体、どんなものだったのか。
思い出せないことが、さらにヒロインの不安と焦りに拍車をかけた。
しかし、考えている時間はない。
ヒロインは頭を振ってもやもやとすっきりしないものを追い出した。
(行かなきゃ――)
ヒロインはセフィロスがいるだろう場所に向かって駆け出した。
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霞に光が反射して、きらきらと輝く様は、とても幻想的であり、それでいて脆さを秘めた美しさだった。
視界は決してよくなかった。
しかし、ヒロインには進むべき方向がはっきり見えており、導かれるように進んだ。
森を抜けた先は、さらに俗界を離れたような神秘さを湛えていた。
しかし、生命が死に絶えた場所でもあった。
白樺に見えたのは、化石化した木。
建造物も、巨大な貝殻の化石だった。
触れば簡単に崩れ落ちた。
「まるで、死の世界ね」
美しいが冷たい。
ヒロインはうすら寒いものを感じ、足早に通り過ぎようとした。
――無駄な足掻きを
突然、頭に響いた声。
あの嘲笑するような声音を間違えるはずがない。
「セフィロス…!」
ヒロインは辺りを見回した。
しんと静まり返った森は、何も動かない。
それとは反対に、ヒロインの心は大きく波立った。
(一体、どこに…)
ヒロインは、ふと視界に入った建物に目を留めた。
――茶番は終わりだ
セフィロスが、刀を抜いた。
「やめて!」
ヒロインの叫びは、辺り一帯を震わせた。
それと同時に、セフィロスは消えた。
消える寸前、妖しげな笑みを浮かべて。
それは、幻と言い切るには、あまりにはっきりした映像だった。
セフィロスがヒロインに対して意図的に見せたと考えるのが自然だった。
「止めなきゃ…もう、あの時と同じ思いは――」
血塗れで倒れた――
「――誰…?あの時…?」
瞬きと同時に消えた記憶。
それは一体、どんなものだったのか。
思い出せないことが、さらにヒロインの不安と焦りに拍車をかけた。
しかし、考えている時間はない。
ヒロインは頭を振ってもやもやとすっきりしないものを追い出した。
(行かなきゃ――)
ヒロインはセフィロスがいるだろう場所に向かって駆け出した。
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