2-19:喪失
ヒロイン
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北に向かうヘリコプターの中で、ヒロインはずっと不安に怯えていた。
不吉な予感が消えない。
時間が経つにつれ、それはますます大きくなっていった。
そんなヒロインを心配そうに見ていたレノが、小さく嘆息した。
「少しは落ち着けよ、と」
「うん…」
ヒロインは身体の震えをレノに悟られないよう、拳を握り、それを押さえ付けた。
基地を出発したヘリコプターは海を越え、北の大陸に差し掛かろうとしていた。
眼下に広がるのは、広大な森林だった。
さらに北の方にも視線を動かしたが、霧でも出ているのか、その先は白く霞んでいて何も見えなかった。
「ヘリじゃ、ここまでが限界だな」
そう言うと、レノはヘリコプターを着陸させた。
「大丈夫か、ヒロイン?顔色悪いぞ」
レノの手が伸び、頬に触れた。
ヒロインは顔を上げ、曖昧な笑みを浮かべた。
胃がキリキリする。
焦りと不安から、今にも吐きそうだ。
ヒロインは無意識に胃の辺りを手でさすっていた。
「お前、また無理して――」
ヒロインの状態を敏感に読み取ったレノが顔をしかめた。
「レノ、送ってくれてありがとう」
ヒロインはヘリコプターから降りた。
冷たい風が頬を刺す。
ヒロインは身体を抱き締め、身震いした。
「そんな格好じゃ風邪引くぞ、と」
そう言ったレノがヒロインにダウンコートを羽織らせた。
「ヒロイン、絶対戻ってこいよ」
振り返り、レノの目を見たヒロインは、はっとした。
レノもひどく不安そうにしている。
何か嫌なものを感じているのは、ヒロインだけではないようだ。
ヒロインは堪らずレノの胸に飛び込んだ。
「本当は、怖くて仕方ないの」
ヒロインはレノの背に回した腕にぎゅっと力を入れた。
「でも、今行かなきゃ、一生後悔する」
ヒロインに答えるように、レノもヒロインをきつく抱き締めた。
「あぁ」
だから、行ってきます。
ヒロインは笑顔でレノと別れた。
レノは小さくなるヒロインの背中を、不安げに見送った。
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不吉な予感が消えない。
時間が経つにつれ、それはますます大きくなっていった。
そんなヒロインを心配そうに見ていたレノが、小さく嘆息した。
「少しは落ち着けよ、と」
「うん…」
ヒロインは身体の震えをレノに悟られないよう、拳を握り、それを押さえ付けた。
基地を出発したヘリコプターは海を越え、北の大陸に差し掛かろうとしていた。
眼下に広がるのは、広大な森林だった。
さらに北の方にも視線を動かしたが、霧でも出ているのか、その先は白く霞んでいて何も見えなかった。
「ヘリじゃ、ここまでが限界だな」
そう言うと、レノはヘリコプターを着陸させた。
「大丈夫か、ヒロイン?顔色悪いぞ」
レノの手が伸び、頬に触れた。
ヒロインは顔を上げ、曖昧な笑みを浮かべた。
胃がキリキリする。
焦りと不安から、今にも吐きそうだ。
ヒロインは無意識に胃の辺りを手でさすっていた。
「お前、また無理して――」
ヒロインの状態を敏感に読み取ったレノが顔をしかめた。
「レノ、送ってくれてありがとう」
ヒロインはヘリコプターから降りた。
冷たい風が頬を刺す。
ヒロインは身体を抱き締め、身震いした。
「そんな格好じゃ風邪引くぞ、と」
そう言ったレノがヒロインにダウンコートを羽織らせた。
「ヒロイン、絶対戻ってこいよ」
振り返り、レノの目を見たヒロインは、はっとした。
レノもひどく不安そうにしている。
何か嫌なものを感じているのは、ヒロインだけではないようだ。
ヒロインは堪らずレノの胸に飛び込んだ。
「本当は、怖くて仕方ないの」
ヒロインはレノの背に回した腕にぎゅっと力を入れた。
「でも、今行かなきゃ、一生後悔する」
ヒロインに答えるように、レノもヒロインをきつく抱き締めた。
「あぁ」
だから、行ってきます。
ヒロインは笑顔でレノと別れた。
レノは小さくなるヒロインの背中を、不安げに見送った。
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