2-18:予感
ヒロイン
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ヒロインを乗せたヘリコプターは、逃げるようにゴールドソーサーを後にした。
あれほど長居をしたくなかったはずなのに、今はこの場を離れたくない。
まばゆい明かりが小さくなり、徐々に闇に飲まれていく。
ヒロインは絶望にも似た気持ちで、最後の光が闇に沈むのを見ていた。
「ヒロイン、大丈夫か?」
心配そうにツォンが声を掛けてきたが、いつものように気丈に振る舞うことはできそうにない。
ヒロインは小さく首を振った。
今こうしていることは、自分で決めたことなのに。
いつもなら、笑っていられるのに。
震えが、止まらない。
怖い。
ヒロインは俯き、膝の上で握った拳に更に力を込め、震えを押さえようと努めた。
また、暗い実験室に閉じ込められるのだろうか。
薬品の匂いしかしないような所に戻されるのだろうか。
クラウドたちと旅をすることで手に入れた、初めての自由。
皮肉にも、それが余計に今のヒロインの恐怖を煽っていた。
(戻りたくない…!)
――では、逃げるか?
左腕のバングルに付けていたマテリアが、バチッと光った。
左腕に走った痛みにヒロインははっとする。
(あの時と同じ――!)
バトルスクエアでのことを思い出し、ヒロインは必死の形相でマテリアを右手で抑えつけた。
「ヒロイン、落ち着け。深く息を吸って…吐いて――」
ツォンが両手でヒロインの手を包み込んだ。
それに気付いたヒロインは、ツォンに合わせて深呼吸を繰り返した。
幾度か深呼吸を繰り返すうちに、マテリアの光は収まり、ヒロイン自身も落ち着きを取り戻した。
「ヒロイン、怖がらなくていい。社長の命令で、君を助けるために来たんだ」
思ってもみなかったツォンの言葉に、ヒロインは初めて顔を上げた。
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あれほど長居をしたくなかったはずなのに、今はこの場を離れたくない。
まばゆい明かりが小さくなり、徐々に闇に飲まれていく。
ヒロインは絶望にも似た気持ちで、最後の光が闇に沈むのを見ていた。
「ヒロイン、大丈夫か?」
心配そうにツォンが声を掛けてきたが、いつものように気丈に振る舞うことはできそうにない。
ヒロインは小さく首を振った。
今こうしていることは、自分で決めたことなのに。
いつもなら、笑っていられるのに。
震えが、止まらない。
怖い。
ヒロインは俯き、膝の上で握った拳に更に力を込め、震えを押さえようと努めた。
また、暗い実験室に閉じ込められるのだろうか。
薬品の匂いしかしないような所に戻されるのだろうか。
クラウドたちと旅をすることで手に入れた、初めての自由。
皮肉にも、それが余計に今のヒロインの恐怖を煽っていた。
(戻りたくない…!)
――では、逃げるか?
左腕のバングルに付けていたマテリアが、バチッと光った。
左腕に走った痛みにヒロインははっとする。
(あの時と同じ――!)
バトルスクエアでのことを思い出し、ヒロインは必死の形相でマテリアを右手で抑えつけた。
「ヒロイン、落ち着け。深く息を吸って…吐いて――」
ツォンが両手でヒロインの手を包み込んだ。
それに気付いたヒロインは、ツォンに合わせて深呼吸を繰り返した。
幾度か深呼吸を繰り返すうちに、マテリアの光は収まり、ヒロイン自身も落ち着きを取り戻した。
「ヒロイン、怖がらなくていい。社長の命令で、君を助けるために来たんだ」
思ってもみなかったツォンの言葉に、ヒロインは初めて顔を上げた。
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