2-17:約束
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ゴンドラは二人を乗せ、緩やかに進み、降り場に入った。
「ありがとう、レノ。楽しかった」
ゴンドラから先に降りたヒロインは、振り返ってにっこり微笑んだ。
レノは顔を伏せ、小さく「あぁ」とだけ答えた。
そのレノの様子に、ヒロインは首を傾げた。
「どうかした?」
歩きながらレノの顔を覗き込む。
すると、レノがぷいと横を向いた。
何か機嫌を損ねるようなことをしたのだろうか?
「ねぇ…レノ――」
「っ…ヒロイン、俺は――」
「やはり無理だったみたいだな」
上空から降ってきた声を、ヒロインは知っていた。
「ツォン、さん?」
ヘリコプターが巻き起こす暴風に煽られながら、上を仰ぎ見、ツォンの姿を捉えたヒロインは、全てを理解した。
レノが現れたのは任務で、自分を捕まえに来たのだということを。
ヒロインは一歩後退り、レノと距離を取った。
「レノ。私はヒロインを拘束しろと言ったはずだが?」
「…っ!」
レノは、血が出るのではないかというぐらい強く唇を噛んでいた。
「レノ…」
激しく力が込められたレノの拳が、ぶるぶると震えだす。
葛藤するレノの心が、悲鳴を上げている。
今にも壊れそうなレノに堪らなくなり、ヒロインは両手でレノの拳を包んだ。
「レノ…」
「レノ、命令だ」
ヒロインはわかっていた。
それが、拒否することは許されない命令だと。
それでも自分のことを思い、行動に移さずにいるレノに感謝しながらも、そのレノの苦しみの原因が自分であることをヒロインは憂いた。
(私が、おとなしく捕まれば…)
レノは苦しまずに済むだろうか?
でも、その自己犠牲の精神が、レノをさらに深く傷つけてしまうかもしれない。
(どうしたら――)
「なんや、まだ連れてってへんのですか?」
仲間の声に弾かれたようにヒロインは振り返った。
しかし――
「ケット・シー…まさか、あなた――」
神羅寄りの発言をしたケット・シーに、ヒロインは不安を隠せない。
「言うのが遅なりましたけど、僕、神羅のスパイなんです」
ケット・シーが屈託ない笑顔で言った。
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「ありがとう、レノ。楽しかった」
ゴンドラから先に降りたヒロインは、振り返ってにっこり微笑んだ。
レノは顔を伏せ、小さく「あぁ」とだけ答えた。
そのレノの様子に、ヒロインは首を傾げた。
「どうかした?」
歩きながらレノの顔を覗き込む。
すると、レノがぷいと横を向いた。
何か機嫌を損ねるようなことをしたのだろうか?
「ねぇ…レノ――」
「っ…ヒロイン、俺は――」
「やはり無理だったみたいだな」
上空から降ってきた声を、ヒロインは知っていた。
「ツォン、さん?」
ヘリコプターが巻き起こす暴風に煽られながら、上を仰ぎ見、ツォンの姿を捉えたヒロインは、全てを理解した。
レノが現れたのは任務で、自分を捕まえに来たのだということを。
ヒロインは一歩後退り、レノと距離を取った。
「レノ。私はヒロインを拘束しろと言ったはずだが?」
「…っ!」
レノは、血が出るのではないかというぐらい強く唇を噛んでいた。
「レノ…」
激しく力が込められたレノの拳が、ぶるぶると震えだす。
葛藤するレノの心が、悲鳴を上げている。
今にも壊れそうなレノに堪らなくなり、ヒロインは両手でレノの拳を包んだ。
「レノ…」
「レノ、命令だ」
ヒロインはわかっていた。
それが、拒否することは許されない命令だと。
それでも自分のことを思い、行動に移さずにいるレノに感謝しながらも、そのレノの苦しみの原因が自分であることをヒロインは憂いた。
(私が、おとなしく捕まれば…)
レノは苦しまずに済むだろうか?
でも、その自己犠牲の精神が、レノをさらに深く傷つけてしまうかもしれない。
(どうしたら――)
「なんや、まだ連れてってへんのですか?」
仲間の声に弾かれたようにヒロインは振り返った。
しかし――
「ケット・シー…まさか、あなた――」
神羅寄りの発言をしたケット・シーに、ヒロインは不安を隠せない。
「言うのが遅なりましたけど、僕、神羅のスパイなんです」
ケット・シーが屈託ない笑顔で言った。
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