2-16:仲直り
ヒロイン
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宿を出た二人は、殊更ゆっくりと歩いた。
再び別の方向に向かわなければならないのはわかっていたが、できる限り一緒にいたいという思いは同じだった。
やっと5年という時間が埋まり始めたのに――
別れの瞬間を思うと、涙が溢れてくる。
ヒロインはレノに気付かれないように、涙を拭った。
「タークス!ヒロインを放せ!」
真後ろから発せられる殺気は、真っ直ぐレノへ向いていた。
「ちっ…邪魔するなよ」
レノが思い切り舌打ちした。
まさに一触即発。
ぴりっと張った空気が痛い。
「ごめんなさい、行かなきゃ…」
ヒロインは、レノにだけ聞こえるように言い、名残惜しかったが、手を放した。
そして、クラウドたちに向き直った。
「クラウド、違うの。レノは、コルネオから助けてくれたの」
「コルネオ!?」
クラウドと一緒にいたティファが、すっとんきょうな声を上げた。
「ユフィが、コルネオにさらわれたの!花嫁がどうとか、言ってた…」
「コルネオに!?」
つい先程、自分の身に起こったことを思い出したヒロインは、思わず身震いした。
自分は未遂で済んだが、さらわれたとあってはユフィの身が危ない。
「助けなきゃ!」
ヒロインの言葉にクラウドたちも頷いた。
「なーんか、忙しそうだな。ここでお別れだ――」
「レノ、イリーナがさらわれた」
突然現れた(ように見えた)ルードに、皆が驚いた。
その中で、最も表情の変化が激しかったのはレノだった。
飄々としていたのが一変し、呆れ顔に変わっていた。
「さらわれたって…コルネオにか?」
「あぁ」
「あんのバカ…!」
レノが右手で額を押さえた。
「イリーナも助けなきゃ。だから――」
ヒロインはレノとクラウドに交互に視線を送った。
「しばらく休戦。ね?」
まだピリピリしている二人に念押しするように、ヒロインは意識して語尾を強めた。
「…仕方ないな。言っとくが、お前らのためじゃないぞ、と」
「…そっちこそ、勘違いするな」
まだ睨み合っている二人に呆れたヒロインは、大きく溜息をついた。
「…ヒロインは、罪作りだな」
ぼそっと言ったルードの言葉は、誰に拾われることもなかった。
.
再び別の方向に向かわなければならないのはわかっていたが、できる限り一緒にいたいという思いは同じだった。
やっと5年という時間が埋まり始めたのに――
別れの瞬間を思うと、涙が溢れてくる。
ヒロインはレノに気付かれないように、涙を拭った。
「タークス!ヒロインを放せ!」
真後ろから発せられる殺気は、真っ直ぐレノへ向いていた。
「ちっ…邪魔するなよ」
レノが思い切り舌打ちした。
まさに一触即発。
ぴりっと張った空気が痛い。
「ごめんなさい、行かなきゃ…」
ヒロインは、レノにだけ聞こえるように言い、名残惜しかったが、手を放した。
そして、クラウドたちに向き直った。
「クラウド、違うの。レノは、コルネオから助けてくれたの」
「コルネオ!?」
クラウドと一緒にいたティファが、すっとんきょうな声を上げた。
「ユフィが、コルネオにさらわれたの!花嫁がどうとか、言ってた…」
「コルネオに!?」
つい先程、自分の身に起こったことを思い出したヒロインは、思わず身震いした。
自分は未遂で済んだが、さらわれたとあってはユフィの身が危ない。
「助けなきゃ!」
ヒロインの言葉にクラウドたちも頷いた。
「なーんか、忙しそうだな。ここでお別れだ――」
「レノ、イリーナがさらわれた」
突然現れた(ように見えた)ルードに、皆が驚いた。
その中で、最も表情の変化が激しかったのはレノだった。
飄々としていたのが一変し、呆れ顔に変わっていた。
「さらわれたって…コルネオにか?」
「あぁ」
「あんのバカ…!」
レノが右手で額を押さえた。
「イリーナも助けなきゃ。だから――」
ヒロインはレノとクラウドに交互に視線を送った。
「しばらく休戦。ね?」
まだピリピリしている二人に念押しするように、ヒロインは意識して語尾を強めた。
「…仕方ないな。言っとくが、お前らのためじゃないぞ、と」
「…そっちこそ、勘違いするな」
まだ睨み合っている二人に呆れたヒロインは、大きく溜息をついた。
「…ヒロインは、罪作りだな」
ぼそっと言ったルードの言葉は、誰に拾われることもなかった。
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