「タイニー・ブロンコを貸せ！？宇宙事業の話じゃねぇのか！？」



　ヒロインが村へ戻ると、シドの声が聞こえてきた。



　ヒロインは足を止め、物陰から様子を伺った。



「我々はセフィロスを追って、北に向かわねばならない。そのためにタイニー・ブロンコが必要なのだ。そもそも、君がこうしていられるのも、神羅カンパニーの力だというのを忘れてもらっては困る」



　丁寧ではあるが、有無を言わせぬルーファウスの口調に、シドが言葉を詰まらせた。



（ルーファウスもセフィロスを追ってる？）



　ヒロインは眉をひそめた。



　セフィロスの行き先は、あの場にいた人間と、仲間たちしか知らないはずだ。



　その情報をどうやって知り得たのだろうか？



「では、タイニー・ブロンコを徴発する」



　ルーファウスが手を上げ、神羅兵たちに合図した。



　その時、エンジン音と共に、暴風が巻き起こった。



　予期せぬ風に煽られ、ヒロインは体勢を崩した。



「ヒロイン！？」



　ヒロインを発見したルーファウスが目を見張った。



　神羅兵がこちらに向かってくるのを捉えたヒロインは、慌てて立ち上がる。



　しかし、更に激しさを増した風のおかげで、互いに迅速な行動を取れずにいた。



「タイニー・ブロンコが！」



　シドの怒鳴り声に、はっとし、ヒロインは両腕で顔を庇いながら、風上を見た。



　プロペラを回し、今にも飛び立ちそうな小型飛行機がこちらに向かってきている。



　タイニー・ブロンコが壊した木製の柵が風に乗って飛んできた。



「ヒロイン！」



　寸でのところで駆け付けたクラウドが、間一髪ヒロインごと地面に伏せて、それをやり過ごす。



「ヒロイン、乗るぞ！」



「え！？」



　クラウドに引き起こされたヒロインは、クラウドに引き摺られるようにして、タイニー・ブロンコの背後に回り込んだ。



　完全に離陸の態勢に入り、スピードを上げたタイニー・ブロンコの尾翼に掴まると、ヒロインは身体を引き上げた。



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