2-14:疑念
ヒロイン
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ミッドガルに帰還した翌日、レノは定刻通りに出社した。
久しぶりに戻った本社は普段と全く変わらなかった。
プレジデントが殺され、ルーファウスが新たに社長に就任しても、一般の社員にとってはさして支障もないらしい。
いや、一つだけ変わったことがある。
それは――
「ルーファウス様、やっぱり素敵よね」
「社長がカッコいいと、労働意欲も湧くわね」
そこかしこで耳にする社長を賛美する女性社員の声だった。
(女ってのは単純だな)
確かにルーファウスは前社長に比べて、容姿は格段にいい。
さらに頭もいいと来たら、女性社員の噂話に登場しないはずがない。
しかし、こうも皆で示し合わせたように同じ話題ばかりだと、さすがにうんざりする。
レノは辟易しながら、エントランスでエレベーターを待った。
ポケットに両手を突っ込み、ぼーっとエレベーターの階層表示ランプを眺めていると、背後のひそひそ話が聞こえてきた。
「(ね、レノさんよね?)」
「(うん、絶対そう!)」
真後ろから聞こえる黄色い声に対し、レノは無視を決め込んだ。
後ろの二人は、話し掛けるだの恥ずかしいだの、勝手に盛り上がっている。
その女性特有の行動が理解できず、レノは朝から激しい疲労感を感じた。
(やっぱ、外勤の方が楽だぞ、と)
任務で社外に出れば、エレベーターを待つことも、不愉快な会話を聞く必要もない。
(面倒臭いぞ、と)
むくむくと現れだしたサボり癖が、レノを外に連れ出そうとする。
いつもなら思い立った瞬間に踵を返しているところだが、半歩足を引いたところで思い止まった。
もしかしたら、ヒロイン絡みの任務があるかもしれない。
ふとそんな予感を感じたレノは、引いた足を戻した。
ヒロインと接触するチャンスを棒に振れない。
レノは再び階層表示ランプに視線を戻した。
エレベーターはもうすぐエントランスに着く。
やれやれと息を吐きだしたレノの耳に、爽やかとは言い難い声が遠くから聞こえてきた。
「レノォ、久しぶり」
.
久しぶりに戻った本社は普段と全く変わらなかった。
プレジデントが殺され、ルーファウスが新たに社長に就任しても、一般の社員にとってはさして支障もないらしい。
いや、一つだけ変わったことがある。
それは――
「ルーファウス様、やっぱり素敵よね」
「社長がカッコいいと、労働意欲も湧くわね」
そこかしこで耳にする社長を賛美する女性社員の声だった。
(女ってのは単純だな)
確かにルーファウスは前社長に比べて、容姿は格段にいい。
さらに頭もいいと来たら、女性社員の噂話に登場しないはずがない。
しかし、こうも皆で示し合わせたように同じ話題ばかりだと、さすがにうんざりする。
レノは辟易しながら、エントランスでエレベーターを待った。
ポケットに両手を突っ込み、ぼーっとエレベーターの階層表示ランプを眺めていると、背後のひそひそ話が聞こえてきた。
「(ね、レノさんよね?)」
「(うん、絶対そう!)」
真後ろから聞こえる黄色い声に対し、レノは無視を決め込んだ。
後ろの二人は、話し掛けるだの恥ずかしいだの、勝手に盛り上がっている。
その女性特有の行動が理解できず、レノは朝から激しい疲労感を感じた。
(やっぱ、外勤の方が楽だぞ、と)
任務で社外に出れば、エレベーターを待つことも、不愉快な会話を聞く必要もない。
(面倒臭いぞ、と)
むくむくと現れだしたサボり癖が、レノを外に連れ出そうとする。
いつもなら思い立った瞬間に踵を返しているところだが、半歩足を引いたところで思い止まった。
もしかしたら、ヒロイン絡みの任務があるかもしれない。
ふとそんな予感を感じたレノは、引いた足を戻した。
ヒロインと接触するチャンスを棒に振れない。
レノは再び階層表示ランプに視線を戻した。
エレベーターはもうすぐエントランスに着く。
やれやれと息を吐きだしたレノの耳に、爽やかとは言い難い声が遠くから聞こえてきた。
「レノォ、久しぶり」
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