1-4:Jenova
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「レノ」
いつもより数段冷たいヒロインの声のトーンに、レノはびくりと身体を震わせた。
恐る恐る振り返ると、口元に皮肉な笑みを湛えたヒロインがこっちを見ていた。
もちろん目は笑っていない。
「あー…その…なんだ…」
レノは頭を掻きながら、歯切れの悪い言葉を吐く。
普段なら余りあるほど言い訳など出てくるのに、今日に限って一つも出てこない。
ああでもない、こうでもないとヒロインへの弁解を唸りながら考えていると。
「私、邪魔なら出てくよ」
冷たく言い放たれたヒロインの言葉が、レノの胸に突き刺さる。
何か言い訳しようとして出てきたのは。
「俺は女を家に連れ込まないから大丈夫だぞ、と」
ヒロインが呆れたように溜息をついた。
微妙な沈黙が流れた。
そこで、気まずい空気を誤魔化そうと、レノはタバコに火を点けた。
そして、ソファの反対側の端、レノから一番遠いところに、ヒロインが腰を下ろした。
私は軽い女じゃないわよ。
この二人の距離が、そう暗に示しているようで辛い。
レノは決まり悪く、できるだけヒロインを見ないようにした。
(やっぱあれは夢だな…)
今のヒロインを見ていると、自らキスをしてくることなどありえないように思え、レノはまた溜息をついた。
「レノって、女好きなのね。初めて会ったときも女の人連れてたし」
面白くなさそうにヒロインが言った。
唐突に発せられた言葉に、どこか不貞腐れたような雰囲気を感じ取ったレノは、意地の悪い顔をする。
「何、妬いてくれてんの?」
頬杖をついてにやにや笑いながら、ヒロインを見ると。
「ばっ、誰が!レノになんて興味ないわ!」
顔を真っ赤にし、ムキになって否定するヒロインに、レノはククっと喉を鳴らして笑った。
(こりゃ、脈あり、だな)
タバコを消したレノは、そっぽを向いてしまったヒロインに手を差し出す。
「さて、参りましょうか。お姫様?」
依然拗ねたまま、しぶしぶといった感じで、ヒロインが手をレノの手に置いた。
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