2-13:欠落
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ヒロインは誰もいなくなったところで、ぽっかり口を開けた空間に足を踏み入れた。
そこに照明の類は一切なく、背後からわずかに差し込む光で辛うじて中を見ることができた。
「確かに、ここだわ」
ニブルヘイムに辿り着く前に一瞬浮かんだ映像と、今見ているものが一致した。
奥行のない空間のほとんどを占める黒い箱。
棺のような形をしたその表面をなぞると、窪みに触れた。
ヒロインは迷わずそこに手を掛け、少し力を入れて持ち上げた。
箱の中は真っ赤に布張りされ、その下は綿が敷き詰められているようだった。
真っ暗な中に現れた真紅は、まるで血。
気分が悪くなったヒロインはよろめき、その場に膝を付いた。
「5年間、ずっとここに――」
そう言ってから、ヒロインは眉をひそめた。
セフィロスは「約束より1年早く」と言った。
そして、神羅ビルで「約束の時が来た」とも。
「私がここにいたのは、4年間?」
ミッドガルに戻り、セブンスヘブンで働き始めたのが2ヵ月半ほど前。
そこからの記憶ははっきりしている。
しかし、それ以前の記憶は、ないに等しい。
「1年間、何してたの?」
新たに生まれた空白の1年を思い起こそうと、ヒロインは過去の記憶を辿った。
黒い箱の縁に腰掛け、虚空を見つめる。
そうすることで過去が蘇るような気がしたが、何一つ見えてこない。
ヒロインは嘆息し、頭を振った。
(そういえばあの時、何か聞こえた…)
ニブルヘイムの近くで思い出したのは、黒い空間と何かが割れる音。
「ここで、聞いた?」
はっとしたヒロインは、立ち上がると小部屋を出た。
黄色い電球の光に照らされた地下室は、さらに奥へと続いている。
不吉な予感に襲われながら、ヒロインは天井まで届く書架が両側に並ぶ細い通路を進んだ。
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そこに照明の類は一切なく、背後からわずかに差し込む光で辛うじて中を見ることができた。
「確かに、ここだわ」
ニブルヘイムに辿り着く前に一瞬浮かんだ映像と、今見ているものが一致した。
奥行のない空間のほとんどを占める黒い箱。
棺のような形をしたその表面をなぞると、窪みに触れた。
ヒロインは迷わずそこに手を掛け、少し力を入れて持ち上げた。
箱の中は真っ赤に布張りされ、その下は綿が敷き詰められているようだった。
真っ暗な中に現れた真紅は、まるで血。
気分が悪くなったヒロインはよろめき、その場に膝を付いた。
「5年間、ずっとここに――」
そう言ってから、ヒロインは眉をひそめた。
セフィロスは「約束より1年早く」と言った。
そして、神羅ビルで「約束の時が来た」とも。
「私がここにいたのは、4年間?」
ミッドガルに戻り、セブンスヘブンで働き始めたのが2ヵ月半ほど前。
そこからの記憶ははっきりしている。
しかし、それ以前の記憶は、ないに等しい。
「1年間、何してたの?」
新たに生まれた空白の1年を思い起こそうと、ヒロインは過去の記憶を辿った。
黒い箱の縁に腰掛け、虚空を見つめる。
そうすることで過去が蘇るような気がしたが、何一つ見えてこない。
ヒロインは嘆息し、頭を振った。
(そういえばあの時、何か聞こえた…)
ニブルヘイムの近くで思い出したのは、黒い空間と何かが割れる音。
「ここで、聞いた?」
はっとしたヒロインは、立ち上がると小部屋を出た。
黄色い電球の光に照らされた地下室は、さらに奥へと続いている。
不吉な予感に襲われながら、ヒロインは天井まで届く書架が両側に並ぶ細い通路を進んだ。
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