ヒロインが村に戻った頃には、日が西に沈みかかっていた。



　夕日で真っ赤に染まった村は、とても不気味だった。



　５年前の惨劇を知るから、より気味悪く感じてしまうのだろうか。



　その中でも、村の外れの大きな屋敷は日を背に受けているためか、特におどろおどろしい雰囲気を出していた。



　ヒロインは足を止め、門の前から屋敷を見上げた。



　蔦の這う屋敷は長らく使われていないのか、一切手入れされている様子はない。



　ヒロインは、塗装が剥げ、錆の浮いた門を押した。



　キーッ…と甲高く不快な音を立てながら、観音開きの門扉は、人一人が通れるぐらいの幅を作った。




「ここは…何？」



　ヒロインが眉をひそめ呟いた。



　すると、それに反応したかのように庭に生い茂る草が音を立てた。



　ヒロインは反射的に身構える。





「――オン…」





　草むらの中から現われたのは、黒のローブを纏い、俯き加減に動く男だった。



　その姿がゴールドソーサーで会った研究員に重なり、ヒロインは身を固くした。



「リユニオン…」



　ヒロインは男の言葉に眉をひそめた。



　どこかで聞いたことがあるような――





――リユニオンは始まっている





「セフィロス…！」





　ヒロインは顔を険しくして男に詰め寄った。



「ここにセフィロスがいるの！？ねぇ、リユニオンって何なの！？」



　ヒロインは矢継ぎ早に質問をぶつけた。



　しかし、男は「リユニオン」と繰り返すだけだった。



　ヒロインに気付いているのかすら怪しい。



　同じ場所を行き来するだけの男に何を言っても無駄だと判断し、ヒロインは屋敷へと歩を進めた。



　近くまで来ると、屋敷の古さが一段と目についた。



　どうやら５年前の事件で焼けなかったらしい。



　ヒロインはドアノブに手を掛けようとしたところで、そこについ最近誰かが中に入った形跡があることに気付いた。



「やっぱり、セフィロスが…？」



　ヒロインは一度深呼吸をし、ドアノブを掴んだ。



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