2-13:欠落
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シャワーだけ浴びたレノは、会社を出ると繁華街に向かった。
途中ファーストフード店に立ち寄り、窓から外を眺めてみる。
歩いているのはサラリーマンばかり。
たまに通る学生服の連中は、学校を抜け出したクチだろう。
平和な日常の中に身を置くと、ひどく自分が浮いているような気になる。
職業柄当然だが、一人であることを強く意識させられた。
レノは早々に席を立ち、街の雑踏に身を置いた。
(昔、ヒロインと買い物来たときも通ったな…)
目に留まるもの全てに興味を示し、楽しそうにしていたヒロイン。
(あいつ、目を離すとすぐどっか行っちまうんだよな)
ふらふらと落ち着きのないヒロインの様子を思い出すと、自然と笑みが浮かんできた。
この街には、ヒロインとの思い出が多すぎる。
それは今でも昨日の事のように、はっきりと思い出せる。
ヒロインと一緒に過ごした僅かな時間は、今まで生きてきた中で最も輝かしく、価値のあるものだった。
忘れることなど、できるわけがない。
「俺はまだ――」
レノは足を止めた。
「好きなんだ」
たとえすれ違い、届かぬ思いだとしても。
それを捨てる勇気はない。
忘れて、先に進む根性もない。
女々しいと言われようが、未練たらしいと言われようが、ヒロインしかいない。
ヒロインじゃないとダメだ。
簡単に忘れられる思いなら、事件の後すぐに自分の中から消し去ることもできた。
それができないぐらい、ヒロインは特別だった。
――今すごく楽しい
そう言って笑ったヒロインは、本当に楽しそうだった。
あの日のようにヒロインがまた笑ってくれるなら、どんなに幸せだろう。
その時、隣にいるのが自分ではなくても。
ヒロインが笑っていられるなら、それでいい。
「ちゃんと、ヒロインに謝らなきゃな」
少しでも自分が傷つけたヒロインの心を癒すために。
どれだけ罵られようとも、ヒロインの気が済むなら、それでいい。
レノは空を見上げ、一歩踏み出した。
空はヘリポートで見たよりも高く、鮮やかな青だった。
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途中ファーストフード店に立ち寄り、窓から外を眺めてみる。
歩いているのはサラリーマンばかり。
たまに通る学生服の連中は、学校を抜け出したクチだろう。
平和な日常の中に身を置くと、ひどく自分が浮いているような気になる。
職業柄当然だが、一人であることを強く意識させられた。
レノは早々に席を立ち、街の雑踏に身を置いた。
(昔、ヒロインと買い物来たときも通ったな…)
目に留まるもの全てに興味を示し、楽しそうにしていたヒロイン。
(あいつ、目を離すとすぐどっか行っちまうんだよな)
ふらふらと落ち着きのないヒロインの様子を思い出すと、自然と笑みが浮かんできた。
この街には、ヒロインとの思い出が多すぎる。
それは今でも昨日の事のように、はっきりと思い出せる。
ヒロインと一緒に過ごした僅かな時間は、今まで生きてきた中で最も輝かしく、価値のあるものだった。
忘れることなど、できるわけがない。
「俺はまだ――」
レノは足を止めた。
「好きなんだ」
たとえすれ違い、届かぬ思いだとしても。
それを捨てる勇気はない。
忘れて、先に進む根性もない。
女々しいと言われようが、未練たらしいと言われようが、ヒロインしかいない。
ヒロインじゃないとダメだ。
簡単に忘れられる思いなら、事件の後すぐに自分の中から消し去ることもできた。
それができないぐらい、ヒロインは特別だった。
――今すごく楽しい
そう言って笑ったヒロインは、本当に楽しそうだった。
あの日のようにヒロインがまた笑ってくれるなら、どんなに幸せだろう。
その時、隣にいるのが自分ではなくても。
ヒロインが笑っていられるなら、それでいい。
「ちゃんと、ヒロインに謝らなきゃな」
少しでも自分が傷つけたヒロインの心を癒すために。
どれだけ罵られようとも、ヒロインの気が済むなら、それでいい。
レノは空を見上げ、一歩踏み出した。
空はヘリポートで見たよりも高く、鮮やかな青だった。
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