2-12:決別
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クラウドたちとバギーに乗っていたヒロインの目に飛び込んできたのは、壊れた魔晄炉だった。
森の中にあって、そこだけが異質な姿をしていた。
(…知ってる)
ヒロインはそこから目が離せなくなっていた。
異様な有様が目を引いたのもあるが、何よりヒロインはそれに見覚えがあった。
――君のお父さんとお母さんは、もういないんだ
白衣姿の男が言った。
――どうして?
――魔晄炉でちょっとした事故があってね
男がにやりと笑う。
――だから、これから君は私と一緒に来るんだ
幼いヒロインは、恐る恐る男の手を取った。
(ダメ…行っちゃダメなの――)
――ヒロイン、もうすぐ君の故郷だ
研究員を見上げると、彼はまるでそれが自分の喜びであるように、本当に嬉しそうな顔をした。
――でも、帰っても誰もいない…
――大丈夫。俺がいるよ。これからはずっと一緒にいよう、ヒロイン…
(そう、確かに研究員と約束した)
ずっと一緒に、と。
銃声。
傾ぐ視界。
研究員の叫び声。
全てが遠くなる。
冷たく暗い世界に落ちていく。
たった一人で。
―― 一緒に…
ヒロインは一人になった。
冷たい液体に浸され、それでも意識ははっきりしていた。
――もう一人にしないで
最後に見た研究員の笑顔は、歪んで見えた。
「ここだったのね…」
全ての始まりと終わりの場所。
氷解する記憶と共に、ヒロインの中に潜むジェノバがぞぞっと音を立て、蠢いた。
――もう、いらないよね?
にやりと笑った気味の悪い生物が、ぐわっと大口を開けたのをヒロインは確かに見た。
拒絶する暇すら与えられず、それはヒロインを頭から飲んだ。
――お前に邪魔はさせない
ジェノバに侵食されるヒロインが最後に見たのは、悲痛な表情で叫んだ最愛の人だった。
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森の中にあって、そこだけが異質な姿をしていた。
(…知ってる)
ヒロインはそこから目が離せなくなっていた。
異様な有様が目を引いたのもあるが、何よりヒロインはそれに見覚えがあった。
――君のお父さんとお母さんは、もういないんだ
白衣姿の男が言った。
――どうして?
――魔晄炉でちょっとした事故があってね
男がにやりと笑う。
――だから、これから君は私と一緒に来るんだ
幼いヒロインは、恐る恐る男の手を取った。
(ダメ…行っちゃダメなの――)
――ヒロイン、もうすぐ君の故郷だ
研究員を見上げると、彼はまるでそれが自分の喜びであるように、本当に嬉しそうな顔をした。
――でも、帰っても誰もいない…
――大丈夫。俺がいるよ。これからはずっと一緒にいよう、ヒロイン…
(そう、確かに研究員と約束した)
ずっと一緒に、と。
銃声。
傾ぐ視界。
研究員の叫び声。
全てが遠くなる。
冷たく暗い世界に落ちていく。
たった一人で。
―― 一緒に…
ヒロインは一人になった。
冷たい液体に浸され、それでも意識ははっきりしていた。
――もう一人にしないで
最後に見た研究員の笑顔は、歪んで見えた。
「ここだったのね…」
全ての始まりと終わりの場所。
氷解する記憶と共に、ヒロインの中に潜むジェノバがぞぞっと音を立て、蠢いた。
――もう、いらないよね?
にやりと笑った気味の悪い生物が、ぐわっと大口を開けたのをヒロインは確かに見た。
拒絶する暇すら与えられず、それはヒロインを頭から飲んだ。
――お前に邪魔はさせない
ジェノバに侵食されるヒロインが最後に見たのは、悲痛な表情で叫んだ最愛の人だった。
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