2-12:決別
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ヒロインが初めて自分の心の内を皆の前で曝け出した。
ヒロインは決して表立って利己的な感情を出すことはなかった。
常に『誰かのために』と行動していたヒロインの真の叫びは、その場にいた全員に突き刺さった。
「ヒロイン…」
レノはヒロインが消えた場所から目が離せなかった。
5年前のあの日と同じように、ヒロインは研究員と一緒にいなくなった。
その事実は、レノを打ちのめすには十分だった。
そして、ヒロインの孤独感を知った上で突き放したという罪悪感が、更にレノを責め立てた。
身体中の臓器を締め上げられたような気持ち悪さが駆け上がってくる。
ぐらぐらと不安定に揺れる視界。
そこには何も映っていなかった。
ヒロインも、いない。
(どうして信じてやらなかったんだ――)
後悔するには遅すぎたが、レノは悔やまずにはいられなかった。
あの時、もっとヒロインの言うことに耳を貸していれば――
違う言い方をしていたら――
ヒロインは、研究員に救いを求めなかったのではないか。
自責の念に駆られ立ち尽くすレノに、自然と視線が集まる。
中でもクラウドの視線は怒りに満ちていたが、今は相手をする気にもならない。
何か話すことすら厭わしい。
説明を求める視線を一切無視し、レノは停めていた車に向かって歩き出した。
「逃げるのか?」
背中にぶつけられたクラウドの低い声に、レノは足を止めた。
逃げる?
何から?
「ヒロインと何があったのか説明しろ」
命令口調のクラウドに対し、レノは激しく苛立った。
「おまえらには関係ない話だぞ、と」
レノは一瞥すると、そう吐き捨て、また歩き出した。
「ヒロインがあぁなったのは、お前のせいだろ」
レノは大きく目を見開いた。
そして、自分が何から逃げたがっているのか理解した。
それは、ヒロインが自分を必要としなくなったという現実。
レノのロッドを持つ手が震えた。
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ヒロインは決して表立って利己的な感情を出すことはなかった。
常に『誰かのために』と行動していたヒロインの真の叫びは、その場にいた全員に突き刺さった。
「ヒロイン…」
レノはヒロインが消えた場所から目が離せなかった。
5年前のあの日と同じように、ヒロインは研究員と一緒にいなくなった。
その事実は、レノを打ちのめすには十分だった。
そして、ヒロインの孤独感を知った上で突き放したという罪悪感が、更にレノを責め立てた。
身体中の臓器を締め上げられたような気持ち悪さが駆け上がってくる。
ぐらぐらと不安定に揺れる視界。
そこには何も映っていなかった。
ヒロインも、いない。
(どうして信じてやらなかったんだ――)
後悔するには遅すぎたが、レノは悔やまずにはいられなかった。
あの時、もっとヒロインの言うことに耳を貸していれば――
違う言い方をしていたら――
ヒロインは、研究員に救いを求めなかったのではないか。
自責の念に駆られ立ち尽くすレノに、自然と視線が集まる。
中でもクラウドの視線は怒りに満ちていたが、今は相手をする気にもならない。
何か話すことすら厭わしい。
説明を求める視線を一切無視し、レノは停めていた車に向かって歩き出した。
「逃げるのか?」
背中にぶつけられたクラウドの低い声に、レノは足を止めた。
逃げる?
何から?
「ヒロインと何があったのか説明しろ」
命令口調のクラウドに対し、レノは激しく苛立った。
「おまえらには関係ない話だぞ、と」
レノは一瞥すると、そう吐き捨て、また歩き出した。
「ヒロインがあぁなったのは、お前のせいだろ」
レノは大きく目を見開いた。
そして、自分が何から逃げたがっているのか理解した。
それは、ヒロインが自分を必要としなくなったという現実。
レノのロッドを持つ手が震えた。
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