2-10:別離
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「行かないで!!」
閉じたドアの向こうから、ヒロインの叫び声が響いた。
反射的に足を止めたレノは、振り返りそうになる自分を懸命に抑えた。
そして、その衝動に突き動かされるまま、握った拳を壁に打ち付けた。
重い音が鳴り、手にもじわりと鈍い痛みがやって来る。
レノは額を壁に押しつけ、再度両の拳で壁を叩いた。
怒りとも悲しみとも区別の付かない感情を、他に表現する術を持たず、ただただそれを物にぶつけ、自分の身体を痛め付けるしかなかった。
「くそっ…」
傷つけるはずじゃなかった。
もしヒロインが研究員を想っていても、待っていると伝えるつもりだった。
それでも信じると、決めていたはずのに――
しかしそれも、ヒロイン本人の口から直接聞かされたことで簡単に崩れ去った。
出てきたのは憎悪、叱責、怒声――
挙げ句、一方的に話を打ち切り、別れを告げた。
レノが最後に目にしたのは、涙をこらえ、俯き首を振ったヒロインだった。
今戻れば、まだ間に合うかもしれない。
今ならやり直せるかもしれない。
レノはヒロインがいる部屋のドアに目を向けた。
「やめておけ」
背後から突然聞こえてきたルードの声に、レノは顔をしかめた。
「…立ち聞きか?」
「あれだけの大声で話されれば、聞きたくなくても耳に入る」
振り返ったレノは、目を細めてルードを見た。
「俺に構うなよ、と」
「そういう訳にもいかない」
珍しく一歩も引かないルードに、ますますレノの眉間に皺が寄る。
「あんたには関係ないだろ」
苛立つレノは、自然と語尾を強めた。
すると、滅多に感情を表に出さないルードが、微かに怒りを言葉に乗せた。
「あぁ、確かにお前たちの問題だ。しかし、ヒロインは俺の友人でもある――少し頭を冷やせ」
レノは片眉を上げた。
そして鼻で笑う。
「俺は至って冷静――」
「自分の感情に任せて弄ぶなら、ヒロインじゃなく他の女にしろ」
レノは言い返すこともできず、その場に立ち尽くした。
To be continued...
2007/10/14
.
閉じたドアの向こうから、ヒロインの叫び声が響いた。
反射的に足を止めたレノは、振り返りそうになる自分を懸命に抑えた。
そして、その衝動に突き動かされるまま、握った拳を壁に打ち付けた。
重い音が鳴り、手にもじわりと鈍い痛みがやって来る。
レノは額を壁に押しつけ、再度両の拳で壁を叩いた。
怒りとも悲しみとも区別の付かない感情を、他に表現する術を持たず、ただただそれを物にぶつけ、自分の身体を痛め付けるしかなかった。
「くそっ…」
傷つけるはずじゃなかった。
もしヒロインが研究員を想っていても、待っていると伝えるつもりだった。
それでも信じると、決めていたはずのに――
しかしそれも、ヒロイン本人の口から直接聞かされたことで簡単に崩れ去った。
出てきたのは憎悪、叱責、怒声――
挙げ句、一方的に話を打ち切り、別れを告げた。
レノが最後に目にしたのは、涙をこらえ、俯き首を振ったヒロインだった。
今戻れば、まだ間に合うかもしれない。
今ならやり直せるかもしれない。
レノはヒロインがいる部屋のドアに目を向けた。
「やめておけ」
背後から突然聞こえてきたルードの声に、レノは顔をしかめた。
「…立ち聞きか?」
「あれだけの大声で話されれば、聞きたくなくても耳に入る」
振り返ったレノは、目を細めてルードを見た。
「俺に構うなよ、と」
「そういう訳にもいかない」
珍しく一歩も引かないルードに、ますますレノの眉間に皺が寄る。
「あんたには関係ないだろ」
苛立つレノは、自然と語尾を強めた。
すると、滅多に感情を表に出さないルードが、微かに怒りを言葉に乗せた。
「あぁ、確かにお前たちの問題だ。しかし、ヒロインは俺の友人でもある――少し頭を冷やせ」
レノは片眉を上げた。
そして鼻で笑う。
「俺は至って冷静――」
「自分の感情に任せて弄ぶなら、ヒロインじゃなく他の女にしろ」
レノは言い返すこともできず、その場に立ち尽くした。
To be continued...
2007/10/14
.