2-10:別離
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「5年前、研究員が死ぬ直前に思い出したの…研究員を好きだった、って」
ヒロインは一つ一つ、自分の思いを整理しながら語った。
研究員と逃げ、彼が自分のために宝条の実験体となったこと。
そのため、精神に異常を来してしまったこと。
「確かに最期の瞬間――あの時だけは、昔の研究員だった」
ヒロインは言葉を切って、深呼吸をした。
そうすることで、涙で詰まりかかった言葉を吐き出す。
「同情じゃ、ないのか?」
レノが腕を組み、こちらを見ずに言った。
ヒロインは俯き、小さく頷いた。
「そう、かもしれない。でも――」
レノの重い溜息が耳に届いた。
ヒロインはそれに反応してびくっと身体を震わせたが、続けた。
「忘れられないの」
レノが舌打ちをした。
苛々とタバコを取り出すのがわかった。
ヒロインは下を向いたまま、レノが何か言うのを待った。
そして、タバコが短くなった頃、レノがおもむろに口を開いた。
「俺は、あいつの代わりか?」
ヒロインは、はっきりと首を振った。
「…あの時の気持ちは嘘じゃない」
レノがフィルターまで火が届いたタバコを乱暴に灰皿に押しつけた。
「じゃあ何でコスタで俺を拒んだんだ!?」
ヒロインは今にも潰れそうに痛む胸を押さえた。
言葉が、出てこない。
「――研究員に逃げたんだろ?結局、俺は代わりにすらなれなかったんだな」
「そうじゃない!」
レノが自嘲気味に笑った。
「5年間、待ってたんだぞ、と。未練たらしくな」
レノが背中を向けた。
それが別れを告げるものだと、わかった。
必死で言葉を探すが、何一つ出てこない。
涙ばかりが溢れ出す。
「それも、無駄だったみたいだな」
ヒロインは嗚咽をこらえ、激しく首を振った。
「…クラウドたちには、ヒロインがここにいることを伝えておくぞ、と」
レノの背中が遠くなる。
ドアが開く。
「行かないで!!」
ヒロインの心からの叫びはドアに遮られ、届くことはなかった。
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ヒロインは一つ一つ、自分の思いを整理しながら語った。
研究員と逃げ、彼が自分のために宝条の実験体となったこと。
そのため、精神に異常を来してしまったこと。
「確かに最期の瞬間――あの時だけは、昔の研究員だった」
ヒロインは言葉を切って、深呼吸をした。
そうすることで、涙で詰まりかかった言葉を吐き出す。
「同情じゃ、ないのか?」
レノが腕を組み、こちらを見ずに言った。
ヒロインは俯き、小さく頷いた。
「そう、かもしれない。でも――」
レノの重い溜息が耳に届いた。
ヒロインはそれに反応してびくっと身体を震わせたが、続けた。
「忘れられないの」
レノが舌打ちをした。
苛々とタバコを取り出すのがわかった。
ヒロインは下を向いたまま、レノが何か言うのを待った。
そして、タバコが短くなった頃、レノがおもむろに口を開いた。
「俺は、あいつの代わりか?」
ヒロインは、はっきりと首を振った。
「…あの時の気持ちは嘘じゃない」
レノがフィルターまで火が届いたタバコを乱暴に灰皿に押しつけた。
「じゃあ何でコスタで俺を拒んだんだ!?」
ヒロインは今にも潰れそうに痛む胸を押さえた。
言葉が、出てこない。
「――研究員に逃げたんだろ?結局、俺は代わりにすらなれなかったんだな」
「そうじゃない!」
レノが自嘲気味に笑った。
「5年間、待ってたんだぞ、と。未練たらしくな」
レノが背中を向けた。
それが別れを告げるものだと、わかった。
必死で言葉を探すが、何一つ出てこない。
涙ばかりが溢れ出す。
「それも、無駄だったみたいだな」
ヒロインは嗚咽をこらえ、激しく首を振った。
「…クラウドたちには、ヒロインがここにいることを伝えておくぞ、と」
レノの背中が遠くなる。
ドアが開く。
「行かないで!!」
ヒロインの心からの叫びはドアに遮られ、届くことはなかった。
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