2-10:別離
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カチャッとドアノブが回される音に反応し、ヒロインは顔を上げた。
誰か様子を見に来てくれたのだろうか。
「ヒロイン」
ヒロインは靴を履こうとした体勢のまま、動きを止めた。
「どうして…」
ヒロインは思わず息を飲んだ。
「目、覚めたんだな」
目の前に立っていたのは、何よりも鮮やかな赤を持つ人だった。
「レノ…!」
その人の名を呼ぶと、自然とヒロインの胸が詰まった。
零れ落ちそうになる涙を必死にこらえ、ヒロインは何度も忙しなく瞬きを繰り返した。
「久しぶり、だな」
レノが複雑な表情を浮かべ、言った。
態度も言葉も、どこかぎこちない。
ヒロインもそれを敏感に感じ取っていたからこそ、心の奥深くから沸き上がる切ない思いを押さえ込んでいた。
何よりレノを拒絶した事実がヒロインに甘えを許さなかった。
「どうして、ここに?」
ヒロインが問うと、レノは頭を掻いた。
そして、すっとヒロインから視線を逸らすと、何もない空を見つめた。
レノは何も言わなかった。
その理由を察したヒロインは俯き、ぎゅっとシーツを握り締めた。
「任務で、私たちを追ってるのよね…」
それでもレノは何も言わなかった。
そっと視線を上げたヒロインの目に、感情を押し殺しているかのように無表情で立つレノが映った。
ジュノンのときとはまた違う沈黙が続く。
レノは一度もこちらを見ない。
そして、このピリッと張った空気がわずかに怒気を孕んだものだと気付くのにそう時間は掛からなかった。
突然レノが大股で歩み寄ってきた。
ヒロインははっと顔を上げ、レノを見上げた。
目を細め見下ろすレノの表情は、ヒロインが見たことがないほど冷たいものだった。
ヒロインの背に、冷や汗が伝う。
「レ、ノ…?」
レノは答えない。
ヒロインは全く知らない人物を目の前にしているような錯覚に陥り、もう一度震える声のまま、その人の名を呼んだ。
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誰か様子を見に来てくれたのだろうか。
「ヒロイン」
ヒロインは靴を履こうとした体勢のまま、動きを止めた。
「どうして…」
ヒロインは思わず息を飲んだ。
「目、覚めたんだな」
目の前に立っていたのは、何よりも鮮やかな赤を持つ人だった。
「レノ…!」
その人の名を呼ぶと、自然とヒロインの胸が詰まった。
零れ落ちそうになる涙を必死にこらえ、ヒロインは何度も忙しなく瞬きを繰り返した。
「久しぶり、だな」
レノが複雑な表情を浮かべ、言った。
態度も言葉も、どこかぎこちない。
ヒロインもそれを敏感に感じ取っていたからこそ、心の奥深くから沸き上がる切ない思いを押さえ込んでいた。
何よりレノを拒絶した事実がヒロインに甘えを許さなかった。
「どうして、ここに?」
ヒロインが問うと、レノは頭を掻いた。
そして、すっとヒロインから視線を逸らすと、何もない空を見つめた。
レノは何も言わなかった。
その理由を察したヒロインは俯き、ぎゅっとシーツを握り締めた。
「任務で、私たちを追ってるのよね…」
それでもレノは何も言わなかった。
そっと視線を上げたヒロインの目に、感情を押し殺しているかのように無表情で立つレノが映った。
ジュノンのときとはまた違う沈黙が続く。
レノは一度もこちらを見ない。
そして、このピリッと張った空気がわずかに怒気を孕んだものだと気付くのにそう時間は掛からなかった。
突然レノが大股で歩み寄ってきた。
ヒロインははっと顔を上げ、レノを見上げた。
目を細め見下ろすレノの表情は、ヒロインが見たことがないほど冷たいものだった。
ヒロインの背に、冷や汗が伝う。
「レ、ノ…?」
レノは答えない。
ヒロインは全く知らない人物を目の前にしているような錯覚に陥り、もう一度震える声のまま、その人の名を呼んだ。
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