2-10:別離
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何が真実なのだろう。
最期の瞬間、微笑んでいた研究員。
憎しみを顕にし、自分に迫った研究員。
自分を愛していると言ったレノ。
他の女性に愛を囁くレノ。
混沌とした思いが渦巻く中、ヒロインは闇に身体を横たえていた。
そして、ぼんやり空を見つめながら、自分に問い掛ける声に耳を傾けた。
――研究員のこと、どう思ってたの?
「大切な人。好きだったの…誰よりも」
――レノのことは、どう思ってたの?
「私の欠けた心を埋めてくれた人。堪らなく惹かれた」
――愛してるの?
「愛してる。一緒にいたいって思えたもの」
――本当に?
「…本当」
――研究員を無くした場所を、埋めたかっただけじゃないの?
「違う!」
――じゃあ、どうして信じてあげなかったの?
「それは――」
――裏切られるのが怖いから。
「傷つきたくないから」
――でも、傷ついたのはあなただけじゃない。
――また、あの時と同じように逃げるの?
――5年前と同じように。
ヒロインははっと目を見開いた。
(そう…もう、逃げないって決めた)
闇に捕われていた身体がふっと軽くなる。
そして次の瞬間、身体が何か柔らかいものに接しているのを感じると同時に、ヒロインは目覚めた。
一番初めに目に飛び込んできたのは、また知らない天井だった。
くすんだワインレッドの天井と豪奢なシャンデリアがとてもミスマッチだった。
ヒロインはゆっくりと身体を起こし、右手で頭を押さえた。
研究員に会って、嫌な記憶を引き摺り出されたのは覚えている。
きつく掴まれた手首と圧迫された喉の痛みも、まだ微かだが残っている。
どうやらそれほど時間は経っていないらしい。
ヒロインの胸が研究員を思い出して痛んだが、気を奮い立たせて顔を上げ、辺りを見回した。
ここがレッド13の言っていた宿泊施設なのだろう。
仲間の誰かが運んでくれたに違いない。
また迷惑を掛けてしまったことに少し落ち込みながら、ヒロインは溜息を溢した。
「謝らなきゃ…」
ヒロインは仲間を探すため、ベッド脇に揃えられていた靴に足を入れた。
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最期の瞬間、微笑んでいた研究員。
憎しみを顕にし、自分に迫った研究員。
自分を愛していると言ったレノ。
他の女性に愛を囁くレノ。
混沌とした思いが渦巻く中、ヒロインは闇に身体を横たえていた。
そして、ぼんやり空を見つめながら、自分に問い掛ける声に耳を傾けた。
――研究員のこと、どう思ってたの?
「大切な人。好きだったの…誰よりも」
――レノのことは、どう思ってたの?
「私の欠けた心を埋めてくれた人。堪らなく惹かれた」
――愛してるの?
「愛してる。一緒にいたいって思えたもの」
――本当に?
「…本当」
――研究員を無くした場所を、埋めたかっただけじゃないの?
「違う!」
――じゃあ、どうして信じてあげなかったの?
「それは――」
――裏切られるのが怖いから。
「傷つきたくないから」
――でも、傷ついたのはあなただけじゃない。
――また、あの時と同じように逃げるの?
――5年前と同じように。
ヒロインははっと目を見開いた。
(そう…もう、逃げないって決めた)
闇に捕われていた身体がふっと軽くなる。
そして次の瞬間、身体が何か柔らかいものに接しているのを感じると同時に、ヒロインは目覚めた。
一番初めに目に飛び込んできたのは、また知らない天井だった。
くすんだワインレッドの天井と豪奢なシャンデリアがとてもミスマッチだった。
ヒロインはゆっくりと身体を起こし、右手で頭を押さえた。
研究員に会って、嫌な記憶を引き摺り出されたのは覚えている。
きつく掴まれた手首と圧迫された喉の痛みも、まだ微かだが残っている。
どうやらそれほど時間は経っていないらしい。
ヒロインの胸が研究員を思い出して痛んだが、気を奮い立たせて顔を上げ、辺りを見回した。
ここがレッド13の言っていた宿泊施設なのだろう。
仲間の誰かが運んでくれたに違いない。
また迷惑を掛けてしまったことに少し落ち込みながら、ヒロインは溜息を溢した。
「謝らなきゃ…」
ヒロインは仲間を探すため、ベッド脇に揃えられていた靴に足を入れた。
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