2-9:渇望
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スロープを抜けた先、ワンダースクエアはゴールドソーサーのメインエリアらしく、大勢の人で賑わっていた。
ヒロインの目にはどれも新鮮で、あちこちを引き寄せられるように見て回った。
ゲームセンターのような場所からレストスペース、多くの売店や飲食店が並び、そのどこも人で溢れ返っていた。
迷子になったら大変そう。
そう隣にいるユフィに言おうとした矢先。
「嘘…誰もいない…」
ヒロインは自分がはぐれたことに気が付いた。
きょろきょろ辺りを見回してみるが、見知った姿はない。
いつ自分がはぐれたのかもわからないまま、ヒロインはワンダースクエアのど真ん中で途方に暮れた。
「困ったなぁ…」
「オネエサン、一人?」
自分の視界を遮るようにして立つ二人の男に、ヒロインは一瞬だけ眉根を寄せた。
しかし、すぐに何もなかったような顔をして、場所を変えるため男たちから離れた。
「つれないなぁ。俺たちと遊びに行こうよ」
男たちはしつこく絡んできたが、ヒロインは一切相手にしなかった。
一度でも話をすればキリがなくなる。
ぷいっと向きを変えた途端、ヒロインの手首を男が掴んだ。
「気取ってんじゃねぇぞ」
捕まれた手首は多少痛んだが、振りほどけない力じゃない。
反撃しようと体勢を変えようとしたその時、突然手首の痛みが止んだ。
ヒロインがその理由を理解する前に、今度は男たちと逆の方に引っ張られる。
それは一瞬の出来事で、気が付けば先程の位置からかなり離れた場所に立っていた。
「大丈夫?」
聞き覚えのある懐かしい声に、ヒロインは息を呑んだ。
「逢いたかったよ、ヒロイン」
男に掴まれていた手首にそっと重ねられた手の主を、ヒロインは確かに知っていた。
知っていたからこそ、その存在を否定しなければならなかった。
「そんなはず――」
「喜んでくれないの?」
漆黒のローブのフードを後ろに払いのけ、男が微笑んだ。
「久しぶりに会えたのに」
ヒロインは息をすることすら忘れ、目の前に立つ男を見つめた。
「研究員…」
ヒロインの瞳から、涙が零れ落ちた。
To be continued...
2007/10/01
.
ヒロインの目にはどれも新鮮で、あちこちを引き寄せられるように見て回った。
ゲームセンターのような場所からレストスペース、多くの売店や飲食店が並び、そのどこも人で溢れ返っていた。
迷子になったら大変そう。
そう隣にいるユフィに言おうとした矢先。
「嘘…誰もいない…」
ヒロインは自分がはぐれたことに気が付いた。
きょろきょろ辺りを見回してみるが、見知った姿はない。
いつ自分がはぐれたのかもわからないまま、ヒロインはワンダースクエアのど真ん中で途方に暮れた。
「困ったなぁ…」
「オネエサン、一人?」
自分の視界を遮るようにして立つ二人の男に、ヒロインは一瞬だけ眉根を寄せた。
しかし、すぐに何もなかったような顔をして、場所を変えるため男たちから離れた。
「つれないなぁ。俺たちと遊びに行こうよ」
男たちはしつこく絡んできたが、ヒロインは一切相手にしなかった。
一度でも話をすればキリがなくなる。
ぷいっと向きを変えた途端、ヒロインの手首を男が掴んだ。
「気取ってんじゃねぇぞ」
捕まれた手首は多少痛んだが、振りほどけない力じゃない。
反撃しようと体勢を変えようとしたその時、突然手首の痛みが止んだ。
ヒロインがその理由を理解する前に、今度は男たちと逆の方に引っ張られる。
それは一瞬の出来事で、気が付けば先程の位置からかなり離れた場所に立っていた。
「大丈夫?」
聞き覚えのある懐かしい声に、ヒロインは息を呑んだ。
「逢いたかったよ、ヒロイン」
男に掴まれていた手首にそっと重ねられた手の主を、ヒロインは確かに知っていた。
知っていたからこそ、その存在を否定しなければならなかった。
「そんなはず――」
「喜んでくれないの?」
漆黒のローブのフードを後ろに払いのけ、男が微笑んだ。
「久しぶりに会えたのに」
ヒロインは息をすることすら忘れ、目の前に立つ男を見つめた。
「研究員…」
ヒロインの瞳から、涙が零れ落ちた。
To be continued...
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