2-9:渇望
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それは、見たくも想像したくもない光景だった。
倒れたビーチパラソルの向こうにはっきりと見えたのは、男の額に銃口を突き付けているヒロインの姿。
それは、あれほど人を殺すのを憂い嘆いていた、自分の知るヒロインではなかった。
「何で…」
茫然と佇むレノの横に並んだルードが、すっと目を細めた。
「あれは…宝条、か?」
ルードに言われ、初めてレノはヒロインが銃を突き付ける相手を確認した。
血色の悪い陰気な顔に白衣――間違いなくそれは宝条だった。
「確か、宝条博士は行方不明とか…」
イリーナも眉をひそめ、成り行きを見守っている。
「あいつ…!」
レノはぎりっと唇を噛んだ。
宝条がヒロインに何かしたに違いない。
サンプルとしてヒロインを欲する宝条が、このまま何もしないはずはない。
そう考えるといても立ってもいられず、レノはビーチに飛び降りた。
「レノ!」
「先輩!」
制止する二人の言葉に耳も貸さず、レノは真っ直ぐヒロインに向かって走った。
「やめて!もう聞きたくない!」
悲鳴混じりのヒロインの叫びが、レノの胸を締め付ける。
(ヒロイン!)
気は急いているのに、遠い。
レノは焦る気持ちと共に、砂を蹴って走る。
「彼から愛を受けた女性は君だけじゃないんだよ」
静かなビーチに響いた宝条の言葉に、レノは足を止めた。
そして、硬直し、大きく目を見開いたヒロインが、レノの目に飛び込んできた。
レノの心臓が早鐘を打ち始める。
それ以上進むなと、本能が告げる。
「しかし、死者の残した愛は別だがね。ククッ…研究員くんから、最後に素敵なものをもらったようだね」
死者の、残した、愛?
研究員…?
何のことだ?
レノはヒロインの元へ向かうことも忘れ、その場に立ち尽くした。
そして。
いらない。
ヒロインの唇が、確かにそう告げた。
.
倒れたビーチパラソルの向こうにはっきりと見えたのは、男の額に銃口を突き付けているヒロインの姿。
それは、あれほど人を殺すのを憂い嘆いていた、自分の知るヒロインではなかった。
「何で…」
茫然と佇むレノの横に並んだルードが、すっと目を細めた。
「あれは…宝条、か?」
ルードに言われ、初めてレノはヒロインが銃を突き付ける相手を確認した。
血色の悪い陰気な顔に白衣――間違いなくそれは宝条だった。
「確か、宝条博士は行方不明とか…」
イリーナも眉をひそめ、成り行きを見守っている。
「あいつ…!」
レノはぎりっと唇を噛んだ。
宝条がヒロインに何かしたに違いない。
サンプルとしてヒロインを欲する宝条が、このまま何もしないはずはない。
そう考えるといても立ってもいられず、レノはビーチに飛び降りた。
「レノ!」
「先輩!」
制止する二人の言葉に耳も貸さず、レノは真っ直ぐヒロインに向かって走った。
「やめて!もう聞きたくない!」
悲鳴混じりのヒロインの叫びが、レノの胸を締め付ける。
(ヒロイン!)
気は急いているのに、遠い。
レノは焦る気持ちと共に、砂を蹴って走る。
「彼から愛を受けた女性は君だけじゃないんだよ」
静かなビーチに響いた宝条の言葉に、レノは足を止めた。
そして、硬直し、大きく目を見開いたヒロインが、レノの目に飛び込んできた。
レノの心臓が早鐘を打ち始める。
それ以上進むなと、本能が告げる。
「しかし、死者の残した愛は別だがね。ククッ…研究員くんから、最後に素敵なものをもらったようだね」
死者の、残した、愛?
研究員…?
何のことだ?
レノはヒロインの元へ向かうことも忘れ、その場に立ち尽くした。
そして。
いらない。
ヒロインの唇が、確かにそう告げた。
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