2-9:渇望
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「先輩…よかったんですか?」
「何が?」
イリーナが不安そうに港の方向を振り返った。
「ハイデッカー統括ですよ」
「あぁ…」
イリーナは、仮にも上司であるハイデッカーを無視してここまで来たことに落ち着かないらしい。
「放っときゃいいんだぞ、あんなのは」
「…八つ当たりされてもかなわんからな」
「そう、なんですか」
「「そうだ」ぞ、と」
思いもかけずルードと声が揃ってしまい、レノは思わず吹き出した。
「気が合うな」
「もう!」
ツォンがいなくなって緊張感の欠片もなくなった二人に、イリーナは溜息を零した。
「ツォンさんがいなくて残念なのはわかるが、ちゃんと仕事してくれよ、と」
ツォンがいたなら「自分のことを棚に上げて」と言われそうなセリフを口にし、レノはぽんとイリーナの頭に手を置いた。
「先輩に言われたくありません!」
ムキになって怒るイリーナに「おー、怖っ」と、レノはおどけて肩を竦めた。
(さて、どっちに怒ったのやら)
ツォンのことでからかわれたことか、ちゃんと仕事をしろと言われたことか。
前者なら面白いのに、と新たな恋話の予感にレノはほくそ笑んだ。
(しばらくネタに困らないな)
これをネタにイリーナをからかおうと心に決め、レノはなんの気なしにビーチに視線を移した。
「殺してやる!」
ビーチから聞こえた物騒な言葉に反応し、すぐさま声の発生点に目を向けた。
途端にあちこちから悲鳴が上がり、幾人かが血相を変えてビーチに続く階段を駆け上がってきた。
「おい、何があったんだ、と」
そのうちの一人を捕まえてレノが尋ねると、その男は蒼白な顔で答えた。
「女がいきなり銃を抜いて、男を殺そうとした!」
レノの脳裏に、一人の女性の顔が浮かんだ。
「…どんな、女だった?」
「黒髪の女だ。顔は見てない」
レノは男を放すと、閑散としたビーチの一角に目を遣った。
「ヒロイン…?」
.
「何が?」
イリーナが不安そうに港の方向を振り返った。
「ハイデッカー統括ですよ」
「あぁ…」
イリーナは、仮にも上司であるハイデッカーを無視してここまで来たことに落ち着かないらしい。
「放っときゃいいんだぞ、あんなのは」
「…八つ当たりされてもかなわんからな」
「そう、なんですか」
「「そうだ」ぞ、と」
思いもかけずルードと声が揃ってしまい、レノは思わず吹き出した。
「気が合うな」
「もう!」
ツォンがいなくなって緊張感の欠片もなくなった二人に、イリーナは溜息を零した。
「ツォンさんがいなくて残念なのはわかるが、ちゃんと仕事してくれよ、と」
ツォンがいたなら「自分のことを棚に上げて」と言われそうなセリフを口にし、レノはぽんとイリーナの頭に手を置いた。
「先輩に言われたくありません!」
ムキになって怒るイリーナに「おー、怖っ」と、レノはおどけて肩を竦めた。
(さて、どっちに怒ったのやら)
ツォンのことでからかわれたことか、ちゃんと仕事をしろと言われたことか。
前者なら面白いのに、と新たな恋話の予感にレノはほくそ笑んだ。
(しばらくネタに困らないな)
これをネタにイリーナをからかおうと心に決め、レノはなんの気なしにビーチに視線を移した。
「殺してやる!」
ビーチから聞こえた物騒な言葉に反応し、すぐさま声の発生点に目を向けた。
途端にあちこちから悲鳴が上がり、幾人かが血相を変えてビーチに続く階段を駆け上がってきた。
「おい、何があったんだ、と」
そのうちの一人を捕まえてレノが尋ねると、その男は蒼白な顔で答えた。
「女がいきなり銃を抜いて、男を殺そうとした!」
レノの脳裏に、一人の女性の顔が浮かんだ。
「…どんな、女だった?」
「黒髪の女だ。顔は見てない」
レノは男を放すと、閑散としたビーチの一角に目を遣った。
「ヒロイン…?」
.