2-9:渇望
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偽りじゃないもの。
不変のもの。
そうであると信じたかったもの――
でも。
本当に、それは真に変わらぬものだろうか。
ヒロインは手に触れる砂を強く握り締めた。
己の中に生まれた一片の猜疑心。
それは、ヒロインを追い詰めるには十分すぎるものだった。
「宝条!ヒロインに何をした?」
クラウドの低く押さえた声を聞き、ヒロインはゆっくりと顔を上げた。
「世間話だよ、クラウドくん」
クラウドと目が合い、ヒロインは大丈夫だと笑おうとした。
するとクラウドが辛そうな顔になり、見ていられないとばかりにヒロインから視線を外す。
そこで初めて、ヒロインは自分が笑えていなかったことに気付いた。
(悲しくない、痛くない、辛くない――)
笑わなきゃ、また皆に迷惑が掛かる。
いつものように笑うの――
ヒロインはそれを呪文のように繰り返し、必死で笑う自分の顔を思い浮べた。
「もういいから…ヒロイン、もういいよ」
エアリスの腕に抱かれて、ヒロインの目から一筋の涙が流れ落ちた。
ほら、また皆が私のせいで悲しい顔をする。
何で笑えないの――?
ユフィとティファに抱えられるようにして、ヒロインはその場を離れた。
日陰に腰を下ろしたヒロインは、膝を抱えて俯いた。
(…汚い)
一瞬でもレノの気持ちを疑った自分の弱さをヒロインは心から嫌悪した。
(…こんなにも醜い)
宝条に暴かれた自分の中にあったのは、嫉妬と独占欲、依存心。
確かなものにばかり依って、不確かなものを敬遠する。
醜い姿を隠して、いい女の振りをする。
自分の本性を、レノは知らない。
(やっぱり、愛される資格なんてなかった――)
.
不変のもの。
そうであると信じたかったもの――
でも。
本当に、それは真に変わらぬものだろうか。
ヒロインは手に触れる砂を強く握り締めた。
己の中に生まれた一片の猜疑心。
それは、ヒロインを追い詰めるには十分すぎるものだった。
「宝条!ヒロインに何をした?」
クラウドの低く押さえた声を聞き、ヒロインはゆっくりと顔を上げた。
「世間話だよ、クラウドくん」
クラウドと目が合い、ヒロインは大丈夫だと笑おうとした。
するとクラウドが辛そうな顔になり、見ていられないとばかりにヒロインから視線を外す。
そこで初めて、ヒロインは自分が笑えていなかったことに気付いた。
(悲しくない、痛くない、辛くない――)
笑わなきゃ、また皆に迷惑が掛かる。
いつものように笑うの――
ヒロインはそれを呪文のように繰り返し、必死で笑う自分の顔を思い浮べた。
「もういいから…ヒロイン、もういいよ」
エアリスの腕に抱かれて、ヒロインの目から一筋の涙が流れ落ちた。
ほら、また皆が私のせいで悲しい顔をする。
何で笑えないの――?
ユフィとティファに抱えられるようにして、ヒロインはその場を離れた。
日陰に腰を下ろしたヒロインは、膝を抱えて俯いた。
(…汚い)
一瞬でもレノの気持ちを疑った自分の弱さをヒロインは心から嫌悪した。
(…こんなにも醜い)
宝条に暴かれた自分の中にあったのは、嫉妬と独占欲、依存心。
確かなものにばかり依って、不確かなものを敬遠する。
醜い姿を隠して、いい女の振りをする。
自分の本性を、レノは知らない。
(やっぱり、愛される資格なんてなかった――)
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