2-8:交錯
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「どうした?引かないのか?」
にやにや笑う宝条に激しく憎悪しながらも、ヒロインの指は一向に動かなかった。
「憎悪、殺意――それら負の感情は人の本能だ。恐れることはない」
毒を持った宝条の言葉が、ヒロインの脳内を侵食していく。
「それが足りないからこそ、君は小さなことでまだ悩んでいる」
ヒロインの心の奧が波立つ。
「愛だの慈しみだの、君の中にあるその感情は作られたものだ」
「違う!」
ヒロインは激しく頭を振った。
「本当に違うのかね?」
宝条が、ヒロインの目を捕えた。
心の奥底まで覗き見るような宝条の視線から、ヒロインは目を逸らせなかった。
全身が、悪意に満ちていく――
そして、ヒロインの前に現れたのは、純粋な憎悪だった。
「ほら、君はこんなにも醜い」
宝条が、目を細め笑った。
――ヒロインには、もっと汚れてもらうよ
「いやあぁ!」
ヒロインは銃を取り落とし、絶叫した。
そのヒロインを宝条が容赦なく追い詰める。
「愛情とはひどく薄っぺらなものだ。レノくんだったか――彼が君に向けたものは、簡単に替えがきくんだよ」
「やめて!もう聞きたくない!」
ヒロインは両手で耳を塞いだ。
「彼から愛を受けた女性は君だけじゃないんだよ」
ヒロインは息をすることすら忘れ、大きな目を見開いたままその場に立ち尽くした。
「おや、お仲間がご到着か」
宝条が億劫そうに溜息をついた。
「しかし、死者の残した愛は別だがね。ククッ…研究員くんから、最後に素敵なものをもらったようだね」
悪意に満ちた表情で宝条が笑った。
同時に、ヒロインの心が鈍い音を立てて潰れた。
(偽りなら、もういらない…)
ヒロインはがくっとその場に崩折れた。
To be continued...
2007/09/08
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にやにや笑う宝条に激しく憎悪しながらも、ヒロインの指は一向に動かなかった。
「憎悪、殺意――それら負の感情は人の本能だ。恐れることはない」
毒を持った宝条の言葉が、ヒロインの脳内を侵食していく。
「それが足りないからこそ、君は小さなことでまだ悩んでいる」
ヒロインの心の奧が波立つ。
「愛だの慈しみだの、君の中にあるその感情は作られたものだ」
「違う!」
ヒロインは激しく頭を振った。
「本当に違うのかね?」
宝条が、ヒロインの目を捕えた。
心の奥底まで覗き見るような宝条の視線から、ヒロインは目を逸らせなかった。
全身が、悪意に満ちていく――
そして、ヒロインの前に現れたのは、純粋な憎悪だった。
「ほら、君はこんなにも醜い」
宝条が、目を細め笑った。
――ヒロインには、もっと汚れてもらうよ
「いやあぁ!」
ヒロインは銃を取り落とし、絶叫した。
そのヒロインを宝条が容赦なく追い詰める。
「愛情とはひどく薄っぺらなものだ。レノくんだったか――彼が君に向けたものは、簡単に替えがきくんだよ」
「やめて!もう聞きたくない!」
ヒロインは両手で耳を塞いだ。
「彼から愛を受けた女性は君だけじゃないんだよ」
ヒロインは息をすることすら忘れ、大きな目を見開いたままその場に立ち尽くした。
「おや、お仲間がご到着か」
宝条が億劫そうに溜息をついた。
「しかし、死者の残した愛は別だがね。ククッ…研究員くんから、最後に素敵なものをもらったようだね」
悪意に満ちた表情で宝条が笑った。
同時に、ヒロインの心が鈍い音を立てて潰れた。
(偽りなら、もういらない…)
ヒロインはがくっとその場に崩折れた。
To be continued...
2007/09/08
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