2-8:交錯
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海岸沿いを歩きながら、ヒロインは砂浜に目を遣った。
色とりどりに咲くビーチパラソルと水着の若者たち。
その一角に、海岸にふさわしくない格好の人物を目にし、ヒロインは足を止めた。
血色の悪い顔と白衣――
「宝条…!」
ビーチパラソルの隙間に覗いたその人物を認めた瞬間、ヒロインは駆け出していた。
「…こんなところで、何してるの」
「今忙しい」
問いの答えとは言いがたい返答に、ヒロインは眉をしかめた。
「あなたよね。私にジェノバ細胞をくれたのは」
ぴくっと宝条の眉間が動いた。
そして、緩慢な動作で目を開けた。
「君は…あぁ、プロトタイプの。もう一人は元気かね?」
「もう、一人?」
宝条が何を言っているのか理解できず、ヒロインはさらに眉根を寄せた。
「君と一緒にいた、あの金髪の」
「な、にを…」
声が震えた。
思い当たったのは、たった一人。
「ん、何だ。覚えていないのか?」
ヒロインは一歩後退った。
「彼が初めに実験体になってくれたからこそ、君のような完成品が生まれたんだよ」
「う、そ…」
耳を疑うような宝条の話に、ヒロインは大きく目を見開いた。
「あぁ思い出した。もう一人は人格に障害が出て、破棄したんだったな。何分昔のことで――」
ぷつり、とヒロインの中で何かが切れた。
「あなたが、研究員をあんなふうにしたの…?」
「研究員?確かそんな名だったな」
ククク、と宝条が喉を鳴らした。
ヒロインは腰に差した銃のグリップを力一杯握った。
「あなたが、研究員を狂わせたの…?」
ヒロインは、唇を震わせた。
「殺してやる!」
ヒロインは絶叫し、銃を抜いた。
辺りから甲高い悲鳴が次々上がる。
「いいぞ…憎しみがジェノバを強くする…クククッ」
眉間に銃口を押し当てて尚、宝条は笑っていた。
「許さない!」
ヒロインは、引き金に指を掛けた。
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色とりどりに咲くビーチパラソルと水着の若者たち。
その一角に、海岸にふさわしくない格好の人物を目にし、ヒロインは足を止めた。
血色の悪い顔と白衣――
「宝条…!」
ビーチパラソルの隙間に覗いたその人物を認めた瞬間、ヒロインは駆け出していた。
「…こんなところで、何してるの」
「今忙しい」
問いの答えとは言いがたい返答に、ヒロインは眉をしかめた。
「あなたよね。私にジェノバ細胞をくれたのは」
ぴくっと宝条の眉間が動いた。
そして、緩慢な動作で目を開けた。
「君は…あぁ、プロトタイプの。もう一人は元気かね?」
「もう、一人?」
宝条が何を言っているのか理解できず、ヒロインはさらに眉根を寄せた。
「君と一緒にいた、あの金髪の」
「な、にを…」
声が震えた。
思い当たったのは、たった一人。
「ん、何だ。覚えていないのか?」
ヒロインは一歩後退った。
「彼が初めに実験体になってくれたからこそ、君のような完成品が生まれたんだよ」
「う、そ…」
耳を疑うような宝条の話に、ヒロインは大きく目を見開いた。
「あぁ思い出した。もう一人は人格に障害が出て、破棄したんだったな。何分昔のことで――」
ぷつり、とヒロインの中で何かが切れた。
「あなたが、研究員をあんなふうにしたの…?」
「研究員?確かそんな名だったな」
ククク、と宝条が喉を鳴らした。
ヒロインは腰に差した銃のグリップを力一杯握った。
「あなたが、研究員を狂わせたの…?」
ヒロインは、唇を震わせた。
「殺してやる!」
ヒロインは絶叫し、銃を抜いた。
辺りから甲高い悲鳴が次々上がる。
「いいぞ…憎しみがジェノバを強くする…クククッ」
眉間に銃口を押し当てて尚、宝条は笑っていた。
「許さない!」
ヒロインは、引き金に指を掛けた。
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