「絶対これだよ」



　と、ユフィが一揃いの服を差し出した。



「え…これはちょっと…」


「ヒロインなら着れるわ」



　ティファとエアリスに試着室に押し込まれたヒロインは、服を持ったまま固まった。



（こんな短いの、私が着ていいのかな…）



　自分の年を考えると、勇気が出ない。



「ヒロイン、まだ？」



　ユフィにカーテンの前で急かされ、ヒロインは覚悟を決めた。














「すごい！似合うよ、ヒロイン」



　エアリスが手を叩いて歓声を上げる。



「さすが、スタイル抜群ね」



「あ、ありがとう…」



　ティファにも誉められ、ヒロインは照れ隠しに頭を掻いた。



「よし、決まりぃ！」



　ヒロインは鏡で自分の姿を再度確認した。



　ユフィに負けるとも劣らない黒のショートパンツにニーハイソックス、上は露出の多い赤のオフショルダーニット。



（本当にいいのかな…）



　改めて見ると、もう少し年を考えた方がいいのではないかと思ってしまう。



　しかし、止める間もなくユフィがさっさと会計を済ましてしまったため、肚を括るしかなかった。




「ヒロイン、赤い服よく似合うね」



「そう、かな」



　エアリス言われ、ヒロインは鏡に映る自分の姿をよく見た。



「レノの髪と、同じ色だからかな」



　ヒロインの顔が一瞬で赤くなる。



　エアリスが悪戯っぽく片目を瞑った。



「エ、エアリス！」



　頬を膨らますと、エアリスが笑った。



　少し、寂しそうに。



「すぐ近くに大切な人を感じられるのって、すごく幸せなことだよ」



　ヒロインはエアリスの言葉の意味を計りかね、軽く首を傾げた。



「それって――」



「ほら、時間。早く行かなきゃ、またクラウドに怒られちゃう」



　エアリスはティファとユフィにも声を掛け、店を出た。



（あれ、どういう意味だったんだろう…）



　喉にちょっとした引っ掛かりを感じながら、ヒロインは３人の後を追った。



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