2-8:交錯
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一瞬で目の前が真っ赤に染まった。
あの時と同じ。
ヒロインはぼんやりとそんなことを感じながら、手にした身の丈ほどの刀を振るった。
「目、覚めたみたいだね」
ヒロインは声が聞こえた方に首を傾けた。
「大丈夫?」
心配そうに見つめるエアリスにヒロインは起き上がって小さく頷いた。
「よかった。私、皆に知らせてくるね」
ほっとした表情を作ると、エアリスは慌しく部屋を出ていった。
ぎこちない態度のエアリスの後ろ姿を見送り、ヒロインは目を伏せた。
「夢だなんて都合のいいこと、あるわけないか」
まだ、手には力一杯握っていた刀の柄の感触が残っている。
「血の匂い…」
この手で、殺した。
情け容赦なく。
泣き叫ぶその声、噴き出す血――それに興奮し、快楽を感じていた。
それを思い出すだけで、中のジェノバが未だに興奮に震える。
「もうすっかり化け物ね」
殺戮を楽しんでいた事実さえ冷静に受けとめられるようになった自分に、ヒロインは空恐ろしいものを感じた。
しばらくして、エアリスが皆を連れて戻ってきた。
そして、皆不自然なまでに安堵の言葉だけを口にする。
口裏を合わせてでもいるかのように、誰も運搬船でのヒロインの行動を問い糾そうとはしなかった。
ぎくしゃくした居心地の悪さに、堪らずヒロインは口を開いた。
「誰も、聞かないの?運搬船で私がしたこと」
部屋が水を打ったように静まり返った。
ヒロインが皆の方に視線を向けると、一様に気まずそうな顔をして目を逸らす。
皆との間にできた深い溝の存在を知り、ヒロインは悲しくなって顔を伏せた。
結局相容れない運命だった。
そう自分に言い聞かせた。
悲しくて苦しくて、胸が締め付けられながらも、ヒロインはそれを堪えようと唇を噛み締めた。
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あの時と同じ。
ヒロインはぼんやりとそんなことを感じながら、手にした身の丈ほどの刀を振るった。
「目、覚めたみたいだね」
ヒロインは声が聞こえた方に首を傾けた。
「大丈夫?」
心配そうに見つめるエアリスにヒロインは起き上がって小さく頷いた。
「よかった。私、皆に知らせてくるね」
ほっとした表情を作ると、エアリスは慌しく部屋を出ていった。
ぎこちない態度のエアリスの後ろ姿を見送り、ヒロインは目を伏せた。
「夢だなんて都合のいいこと、あるわけないか」
まだ、手には力一杯握っていた刀の柄の感触が残っている。
「血の匂い…」
この手で、殺した。
情け容赦なく。
泣き叫ぶその声、噴き出す血――それに興奮し、快楽を感じていた。
それを思い出すだけで、中のジェノバが未だに興奮に震える。
「もうすっかり化け物ね」
殺戮を楽しんでいた事実さえ冷静に受けとめられるようになった自分に、ヒロインは空恐ろしいものを感じた。
しばらくして、エアリスが皆を連れて戻ってきた。
そして、皆不自然なまでに安堵の言葉だけを口にする。
口裏を合わせてでもいるかのように、誰も運搬船でのヒロインの行動を問い糾そうとはしなかった。
ぎくしゃくした居心地の悪さに、堪らずヒロインは口を開いた。
「誰も、聞かないの?運搬船で私がしたこと」
部屋が水を打ったように静まり返った。
ヒロインが皆の方に視線を向けると、一様に気まずそうな顔をして目を逸らす。
皆との間にできた深い溝の存在を知り、ヒロインは悲しくなって顔を伏せた。
結局相容れない運命だった。
そう自分に言い聞かせた。
悲しくて苦しくて、胸が締め付けられながらも、ヒロインはそれを堪えようと唇を噛み締めた。
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