このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

2-8:交錯

ヒロイン

本棚
ヒロイン

この章の夢小説設定
白の研究所の生き残り

「誰が拉致しろと言った?」



 激しく誰かを叱責する声を聞き、ヒロインはゆっくりと目を開けた。



「前社長が――」

「今の社長は私だ」



 ぴしゃりと言った声に、ヒロインは聞き覚えがあった。



(ルーファウス…)



 恐る恐る目を開くと、厳しい表情をしたルーファウスと、背中を丸め、小さくなったハイデッカーの姿が目に入った。



「拉致などという野蛮な行為は、私の趣味ではない」



(拉致…そうか、私――)



 ルーファウスと別れ、基地を出ようとしたときに誰かに捕まったことを思い出した。



「今後勝手な真似は一切許さないから、そのつもりでいろ」



 ルーファウスの目が鋭い光を宿す。



 ヒロインはそれが自分に向けられたものではないことをわかっていたが、身体を震わせずにはいられなかった。





 怒りと屈辱で顔を真っ赤にしたハイデッカーが下がると、ヒロインは寝かされていたソファから、ゆっくりと起き上がった。



「すまなかったな。まだ痛むか?」



 ヒロインを労るように身を屈めたルーファウスに、先程とは打って変わって優しい眼差しを向けられ、困ってしまったヒロインは下を向いた。



「…大丈夫、です」



 小さく返事をすると、ルーファウスが安心したように微笑んだ。



「それならよかった。全く、女性の扱いを心得ない輩には困ったものだ」



 苦笑するルーファウスが、身体半分ほど距離を詰めてきた。



 すぐ目の前にあるルーファウスの整った顔。



 敏感に空気を読み取ったヒロインは、慌てて身を退いた。



 しかし、ソファの背もたれに邪魔をされ、ルーファウスとの距離が広がらない。



 ルーファウスの手が伸び、ヒロインの頬に触れた。



 心臓が一段と早いリズムを刻む。



 先程広げた距離も詰められ、逃げ場がなくなった。



ヒロイン…」



 ルーファウスが耳元で甘く囁く。



 頬に置かれていた手が、ゆっくりと下に下りていく――



.
5/15ページ
スキ