「…暇ねぇ」



　ヒロインは、ソファの背もたれによりかかり大きな溜息をついた。



　レノが作った朝食をありがたくいただいたあとは、特にすることもなく、ただぼーっとテレビを見ているだけ。




　普段何をしていたか考えてみると、組織のボスの夜伽をした日はまだ寝ていたし、そうでない日は組織の情報を探ったり、何らかの任務についていた。



　潜入捜査中はなにかと忙しかったため、突然暇になると手持無沙汰で落ち着かない。



　ふあぁー…と、ヒロインは大きな欠伸を一つした。







　今テレビでは奥様ご用達のドロドロ愛憎劇、所謂昼ドラが放送されている。



　ヒロインが姑にいびられ、泣きながら掃除をしている。




「ひどい話ねぇ」




　姑の根性の悪さに眉をひそめながらも、何だかんだでドラマを最後まで見てしまったヒロインは、ドラマに影響され掃除をすることにした。




　誰もいないのをいいことに、レノに借りたシャツを腰の辺りで結び、動きやすい格好にする。



　浴室近くの収納棚から掃除機を発見すると、ヒロインは鼻歌混じりで掃除機をかけ始めた。



　しかし、ヒロインは一つ何かを始めると徹底的にしなければ気が済まない性格。



　思い立ったが吉日とばかりに、ありとあらゆる家事をし始めた。




　散々蓄まっていた大量の洗濯物を洗濯機に放り込む。



　台所では、ゴミの分別から始まり、シンク磨きまで徹底的に行った。



　最後に洗濯物を全て干し終わったところで、ヒロインは綺麗になった部屋を見渡し、満足気に微笑んだ。



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