2-7:提案
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ヘリポートに迎えに来たのは、ハイデッカーだった。
いつもの横柄な態度からは想像できないほど腰を曲げ、揉み手をして現れた上司を、レノは蔑むように見下ろした。
「お待ちしておりました。さ、社長、こちらへ――」
先導するハイデッカーの後ろを優雅な足取りのルーファウスが続く。
海に面した開けたヘリポートは風が強い。
髪を押さえ、不機嫌な表情のルーファウスに殊更気を遣っているハイデッカーをせせら笑い、レノはのんびりと二人の後ろに付いていった。
基地内に入り、幾分ルーファウスの眉間の皺が取れたところで、ハイデッカーが恐る恐る切り出した。
「ところで社長。出発前に申し上げました通り、式典の準備が整っております。まずはそちらに列席して――」
「気が乗らんな」
ルーファウスが一蹴すると、ハイデッカーの表情が固まった。
「親父のように、権力と金をひけらかすのは私の趣味ではない」
一瞬ハイデッカーの口元がひくついたのを、レノは見逃さなかった。
ましてや目ざといルーファウスのこと、気付いていないはずがない。
レノは声を上げて笑いたいのを必死で我慢し、それを誤魔化すようにタバコに火を点けた。
そして、必死で機嫌を伺い、平身低頭式典への参加を頼むハイデッカーを散々弄んだ挙げ句に、ルーファウスが失笑混じりにそれを了承した。
ぱーっと顔を明るくさせたハイデッカーは、でかい図体を揺すってスキップでもしそうな勢いで走っていった。
「人が悪いですね、社長」
笑いを噛み殺したレノは、冷笑するルーファウスに声を掛けた。
「人の本性とは、怒ったときにこそ現れる。お前も見ただろう。あの男の憎々しげに歪んだ口を」
溜息をついたルーファウスがレノに向き直った。
「親父の頃からの幹部連中は信用できない。私が信頼できるのは、君たちタークスだけだ」
先程までルーファウスの言葉を疑っていたが、全てが嘘というわけではなさそうだ。
ハイデッカーのプライドを傷つけたルーファウスに、わずかばかり好感を覚えたレノは軽く頭を下げた。
.
いつもの横柄な態度からは想像できないほど腰を曲げ、揉み手をして現れた上司を、レノは蔑むように見下ろした。
「お待ちしておりました。さ、社長、こちらへ――」
先導するハイデッカーの後ろを優雅な足取りのルーファウスが続く。
海に面した開けたヘリポートは風が強い。
髪を押さえ、不機嫌な表情のルーファウスに殊更気を遣っているハイデッカーをせせら笑い、レノはのんびりと二人の後ろに付いていった。
基地内に入り、幾分ルーファウスの眉間の皺が取れたところで、ハイデッカーが恐る恐る切り出した。
「ところで社長。出発前に申し上げました通り、式典の準備が整っております。まずはそちらに列席して――」
「気が乗らんな」
ルーファウスが一蹴すると、ハイデッカーの表情が固まった。
「親父のように、権力と金をひけらかすのは私の趣味ではない」
一瞬ハイデッカーの口元がひくついたのを、レノは見逃さなかった。
ましてや目ざといルーファウスのこと、気付いていないはずがない。
レノは声を上げて笑いたいのを必死で我慢し、それを誤魔化すようにタバコに火を点けた。
そして、必死で機嫌を伺い、平身低頭式典への参加を頼むハイデッカーを散々弄んだ挙げ句に、ルーファウスが失笑混じりにそれを了承した。
ぱーっと顔を明るくさせたハイデッカーは、でかい図体を揺すってスキップでもしそうな勢いで走っていった。
「人が悪いですね、社長」
笑いを噛み殺したレノは、冷笑するルーファウスに声を掛けた。
「人の本性とは、怒ったときにこそ現れる。お前も見ただろう。あの男の憎々しげに歪んだ口を」
溜息をついたルーファウスがレノに向き直った。
「親父の頃からの幹部連中は信用できない。私が信頼できるのは、君たちタークスだけだ」
先程までルーファウスの言葉を疑っていたが、全てが嘘というわけではなさそうだ。
ハイデッカーのプライドを傷つけたルーファウスに、わずかばかり好感を覚えたレノは軽く頭を下げた。
.