2-6:恋慕
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「残念だが、力になれそうにないな。セフィロスとは、特に親しかったわけじゃない」
呆気なく頼みの綱は切れてしまったが、ヒロインは緩やかに首を振った。
「ごめん、変なこと聞いて」
そのクラウドの答えを予期していなかったわけではない。
そう簡単に答えが得られるとも思っていなかったので、気落ちすることはなかった。
「もう遅いな。俺は宿に戻るけど、ヒロインはどうする?」
「私は、もう少しここにいるわ」
クラウドは軽く頷くと、パブを出ていった。
その背中を見送り、ヒロインは大きな溜息をついた。
ヒロインはビールを頼み、頬杖をついた。
セフィロスの提示した条件は気になるが、それ以上に研究員への気持ちを持て余していた。
とても過去のこととして割り切れそうにはない。
レノと研究員。
現在と過去。
二つは遠いようで近い。
今、レノに会ったらどんな顔をしたらいいのだろう。
何もなかった振りはできそうにない。
ヒロインは再度大きな溜息を溢し、カウンターに突っ伏した。
横を向いて、グラスの中で現れては上って消える気泡を眺めていた。
(よく考えたら…覚えてないこと、たくさんあるわ)
神羅に引き取られる以前のこと、5年前の事件直後、そして――
「私…ミッドガルに着くまで、何してたんだっけ――」
5年間、特にどこかに定住するわけでもなく、あちこちを転々としていたような記憶はある。
ティファにもそう言った。
しかしあちこち行った気がするだけで、そこで何かをした記憶は一つもない。
レノと過ごしたわずかな時間はありありと思い出せるが、つい数年前のことははっきりしない。
「すっきりしないわ…」
もやもやする胸の内を洗い流すように、ヒロインはグラスに残っていた半分ほどのビールを一気に飲み干した。
.
呆気なく頼みの綱は切れてしまったが、ヒロインは緩やかに首を振った。
「ごめん、変なこと聞いて」
そのクラウドの答えを予期していなかったわけではない。
そう簡単に答えが得られるとも思っていなかったので、気落ちすることはなかった。
「もう遅いな。俺は宿に戻るけど、ヒロインはどうする?」
「私は、もう少しここにいるわ」
クラウドは軽く頷くと、パブを出ていった。
その背中を見送り、ヒロインは大きな溜息をついた。
ヒロインはビールを頼み、頬杖をついた。
セフィロスの提示した条件は気になるが、それ以上に研究員への気持ちを持て余していた。
とても過去のこととして割り切れそうにはない。
レノと研究員。
現在と過去。
二つは遠いようで近い。
今、レノに会ったらどんな顔をしたらいいのだろう。
何もなかった振りはできそうにない。
ヒロインは再度大きな溜息を溢し、カウンターに突っ伏した。
横を向いて、グラスの中で現れては上って消える気泡を眺めていた。
(よく考えたら…覚えてないこと、たくさんあるわ)
神羅に引き取られる以前のこと、5年前の事件直後、そして――
「私…ミッドガルに着くまで、何してたんだっけ――」
5年間、特にどこかに定住するわけでもなく、あちこちを転々としていたような記憶はある。
ティファにもそう言った。
しかしあちこち行った気がするだけで、そこで何かをした記憶は一つもない。
レノと過ごしたわずかな時間はありありと思い出せるが、つい数年前のことははっきりしない。
「すっきりしないわ…」
もやもやする胸の内を洗い流すように、ヒロインはグラスに残っていた半分ほどのビールを一気に飲み干した。
.