2-6:恋慕
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カームの夜は、ミッドガルと違って静かだった。
煌々と輝くネオンもなければ、客引きをする騒がしい声もない。
控えめな街灯の明かりだけの街は、今のヒロインにはちょうどよかった。
ふらふらとあてもなく街を歩いていたヒロインの目に、パブの看板が映った。
一人でお酒を飲んだことなどなかったが、ヒロインは誘われるようにパブに入った。
店内も街同様に必要最低限の明かりが灯され、落ち着いた雰囲気を出していた。
そう広くはない店だが席は埋まっており、皆が落ち着いた様子でグラスを傾ける。
そのグラスの中で揺れる氷の立てる音が店のバックミュージックになっているほど、店内は静かだった。
空いている席を探していたヒロインは、見慣れた金髪の男性の背中を見つけ、そちらに歩を進めた。
「マスター、ビールをお願い」
その声でヒロインに気付き、クラウドが顔を上げた。
「もういいのか」
「ええ。迷惑、掛けたみたいね」
「いや」
相変わらずのぶっきらぼうな物言いに、ヒロインはくすりと笑った。
ちょうど会話が途切れたタイミングで、マスターがビールを供した。
「どうぞ」
ヒロインは出されたビールのグラスを手に取ると、一息に呷る。
そして、すぐにお代わりを注文した。
「驚いたな」
気が付くと、クラウドが横で目を丸くしている。
ヒロインはわけがわからず、首を傾げた。
「酒、強いのか?」
やっとクラウドの言葉の意味を理解したヒロインは、苦笑いを浮かべた。
「んー、まぁね」
タークス時代を思い出してみたが、確かにあまり酔っ払った記憶はない。
「昔はよく飲んでたの」
遠くのどこでもない所に視線を向け、5年前に思いを馳せた。
レノ、ザックスと他愛もない話をして、盛り上がって――
「もう戻れないのかな…」
「さぁな」
クラウドが素っ気ない相槌を打つ。
「そう、ね」
ヒロインはくすっと笑うと、ビールグラスに口を付けた。
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煌々と輝くネオンもなければ、客引きをする騒がしい声もない。
控えめな街灯の明かりだけの街は、今のヒロインにはちょうどよかった。
ふらふらとあてもなく街を歩いていたヒロインの目に、パブの看板が映った。
一人でお酒を飲んだことなどなかったが、ヒロインは誘われるようにパブに入った。
店内も街同様に必要最低限の明かりが灯され、落ち着いた雰囲気を出していた。
そう広くはない店だが席は埋まっており、皆が落ち着いた様子でグラスを傾ける。
そのグラスの中で揺れる氷の立てる音が店のバックミュージックになっているほど、店内は静かだった。
空いている席を探していたヒロインは、見慣れた金髪の男性の背中を見つけ、そちらに歩を進めた。
「マスター、ビールをお願い」
その声でヒロインに気付き、クラウドが顔を上げた。
「もういいのか」
「ええ。迷惑、掛けたみたいね」
「いや」
相変わらずのぶっきらぼうな物言いに、ヒロインはくすりと笑った。
ちょうど会話が途切れたタイミングで、マスターがビールを供した。
「どうぞ」
ヒロインは出されたビールのグラスを手に取ると、一息に呷る。
そして、すぐにお代わりを注文した。
「驚いたな」
気が付くと、クラウドが横で目を丸くしている。
ヒロインはわけがわからず、首を傾げた。
「酒、強いのか?」
やっとクラウドの言葉の意味を理解したヒロインは、苦笑いを浮かべた。
「んー、まぁね」
タークス時代を思い出してみたが、確かにあまり酔っ払った記憶はない。
「昔はよく飲んでたの」
遠くのどこでもない所に視線を向け、5年前に思いを馳せた。
レノ、ザックスと他愛もない話をして、盛り上がって――
「もう戻れないのかな…」
「さぁな」
クラウドが素っ気ない相槌を打つ。
「そう、ね」
ヒロインはくすっと笑うと、ビールグラスに口を付けた。
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