2-6:恋慕
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
一番初めに目に飛び込んできたのは、木の梁だった。
見慣れぬ天井に、ヒロインは何度か瞬きをした。
(知らない、場所)
コンクリートで固められ、不自然な白のクロスを張られた見慣れた天井とは違う。
妙に温かみのあるそれに、ヒロインの警戒心は解かれていった。
ゆっくりと起き上がったヒロインは、ベッド脇にきれいに揃えられていた靴を履き、バルコニーへと出た。
外は、既に夜。
見上げる夜空には、無数の星々が競って輝いていた。
「きれい…」
ミッドガルでは見ることの適わなかった満天の星空。
最後に星空を見たのは――
ヒロインはバルコニーの手摺りに凭[もた]れ、目を伏せた。
(研究員――)
心の奥にちくりと刺さった棘は、抜けることはないだろうとヒロインは思った。
何より研究員を愛していたことがレノへの背信行為のようで、ヒロインの心を締め付ける。
「ダメね…逃げることばかり考えちゃう」
ヒロインは自嘲気味に笑うと、空を見上げることなく部屋に戻った。
「ヒロイン、もう大丈夫なの?」
部屋にはエアリスとティファがいた。
「うん。心配掛けてごめん」
ヒロインが笑うと、二人もほっとしたように微笑んだ。
「ここ、どこなの?」
ヒロインが二人に尋ねると、二人は交互にミッドガル脱出から、ここカームに着いてからのことを話してくれた。
クラウドとセフィロス、過去にニブルヘイムで起こった事件のこと。
その話を聞いて、ヒロインは息を呑んだ。
(白の研究所の事件の、すぐ後に…?)
奇妙な因果関係に、ヒロインは薄ら寒いものを感じた。
時折、ティファが不安そうに視線をあちこちに遣っていたが、ヒロインの意識には留まらなかった。
「――セフィロス、か」
その名を口にした途端、ヒロインの脳裏に過去の光景が過った。
――忘れさせてやろう。
――その代わり、条件が…
「条件…‥」
知らず知らずのうちに思案に耽っていたが、心配そうな二人の視線を受け、ヒロインは一旦考えるのをやめた。
「眠れないから、少し散歩してくる」
そう言い残して、ヒロインは宿を出た。
.
見慣れぬ天井に、ヒロインは何度か瞬きをした。
(知らない、場所)
コンクリートで固められ、不自然な白のクロスを張られた見慣れた天井とは違う。
妙に温かみのあるそれに、ヒロインの警戒心は解かれていった。
ゆっくりと起き上がったヒロインは、ベッド脇にきれいに揃えられていた靴を履き、バルコニーへと出た。
外は、既に夜。
見上げる夜空には、無数の星々が競って輝いていた。
「きれい…」
ミッドガルでは見ることの適わなかった満天の星空。
最後に星空を見たのは――
ヒロインはバルコニーの手摺りに凭[もた]れ、目を伏せた。
(研究員――)
心の奥にちくりと刺さった棘は、抜けることはないだろうとヒロインは思った。
何より研究員を愛していたことがレノへの背信行為のようで、ヒロインの心を締め付ける。
「ダメね…逃げることばかり考えちゃう」
ヒロインは自嘲気味に笑うと、空を見上げることなく部屋に戻った。
「ヒロイン、もう大丈夫なの?」
部屋にはエアリスとティファがいた。
「うん。心配掛けてごめん」
ヒロインが笑うと、二人もほっとしたように微笑んだ。
「ここ、どこなの?」
ヒロインが二人に尋ねると、二人は交互にミッドガル脱出から、ここカームに着いてからのことを話してくれた。
クラウドとセフィロス、過去にニブルヘイムで起こった事件のこと。
その話を聞いて、ヒロインは息を呑んだ。
(白の研究所の事件の、すぐ後に…?)
奇妙な因果関係に、ヒロインは薄ら寒いものを感じた。
時折、ティファが不安そうに視線をあちこちに遣っていたが、ヒロインの意識には留まらなかった。
「――セフィロス、か」
その名を口にした途端、ヒロインの脳裏に過去の光景が過った。
――忘れさせてやろう。
――その代わり、条件が…
「条件…‥」
知らず知らずのうちに思案に耽っていたが、心配そうな二人の視線を受け、ヒロインは一旦考えるのをやめた。
「眠れないから、少し散歩してくる」
そう言い残して、ヒロインは宿を出た。
.