2-6:恋慕
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降り注ぐ瓦礫と自由のきかない身体。
完全に生への道を閉ざされたヒロインは、自分の死を悟り目を閉じた。
最後に手が届いていれば――
後悔を抱えたまま、ヒロインは意識が遠退いていくのを感じていた。
――まだ死ぬのは早い
ヒロインが意識を取り戻したのは、研究所からやや離れたニブル山の山腹だった。
そこにいたのは、銀髪の青年と、今にも事切れそうな研究員。
ヒロインはややはっきりしない頭で、自分が生きていることは感じていた。
「まだ死んでもらっては困る」
銀髪の青年は、くくっと喉を鳴らした。
青年の言葉の意味を図りかねながら、ヒロインは身体を起こした。
そして、隣で目を閉じている研究員に視線を移した。
「ねぇ…死んじゃったの?」
声を詰まらせたヒロインは、研究員の手を取った。
まだ微かに脈がある。
何故憎むべき相手に対し、胸が締め付けられるような感情を抱いているのか、ヒロインにはわからなかった。
「死んじゃうの…?」
ヒロインの目から、一筋の涙が零れた。
「ヒロイン…?」
研究員の瞼が微かに動いた。
ヒロインははっとして、研究員が目を開けるのを待った。
「ヒロイン、ごめん…‥」
研究員の口が紡いだのは謝罪。
そのとき、ヒロインはやっと自分の中の感情に名前を付けることができた。
「嫌…死なないで――」
―― 一緒に、逃げよう
あの時研究員に抱いていた感情と同じものが、今のヒロインに戻った。
それは、恋慕。
研究員は、静かに目を閉じた。
いつになく穏やかな表情を浮かべたまま。
「研究員っ!」
ヒロインの声だけが、虚しく響いた。
.
完全に生への道を閉ざされたヒロインは、自分の死を悟り目を閉じた。
最後に手が届いていれば――
後悔を抱えたまま、ヒロインは意識が遠退いていくのを感じていた。
――まだ死ぬのは早い
ヒロインが意識を取り戻したのは、研究所からやや離れたニブル山の山腹だった。
そこにいたのは、銀髪の青年と、今にも事切れそうな研究員。
ヒロインはややはっきりしない頭で、自分が生きていることは感じていた。
「まだ死んでもらっては困る」
銀髪の青年は、くくっと喉を鳴らした。
青年の言葉の意味を図りかねながら、ヒロインは身体を起こした。
そして、隣で目を閉じている研究員に視線を移した。
「ねぇ…死んじゃったの?」
声を詰まらせたヒロインは、研究員の手を取った。
まだ微かに脈がある。
何故憎むべき相手に対し、胸が締め付けられるような感情を抱いているのか、ヒロインにはわからなかった。
「死んじゃうの…?」
ヒロインの目から、一筋の涙が零れた。
「ヒロイン…?」
研究員の瞼が微かに動いた。
ヒロインははっとして、研究員が目を開けるのを待った。
「ヒロイン、ごめん…‥」
研究員の口が紡いだのは謝罪。
そのとき、ヒロインはやっと自分の中の感情に名前を付けることができた。
「嫌…死なないで――」
―― 一緒に、逃げよう
あの時研究員に抱いていた感情と同じものが、今のヒロインに戻った。
それは、恋慕。
研究員は、静かに目を閉じた。
いつになく穏やかな表情を浮かべたまま。
「研究員っ!」
ヒロインの声だけが、虚しく響いた。
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