2-4:記憶
ヒロイン
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レノにはこんな状況の中で笑うヒロインが無理をしているようにしか見えなかった。
いつも強がって、弱いところは誰にも見せない。
5年前と何一つ変わっていない。
それがレノには歯痒い。
レノはヒロインに近づくと、何も言わずに抱き締めた。
「会いたかった」
それは、何よりも伝えたかった言葉。
ヒロインを腕に抱き、その温もりを感じられたことで、やっと自分の思いを告げた。
しばらくは戸惑い、目を瞬かせていたヒロインだったが、恐る恐る伸ばされた手は、しっかりとレノの背に回された。
「レノ…」
啜り泣くようなヒロインの声を聞き、やはりヒロインが無理をしていたことを知る。
レノはヒロインの頭を優しく撫でてやり、一度強く抱き締めると、レノは兼ねてから言うつもりだったことを口にした。
「ヒロイン、あいつらと行け」
びくっとヒロインの身体が震えた。
驚いて顔を上げたヒロインの目は、動揺を映して揺れていた。
「そんなの、できない」
「全部、知ってるんだ」
ヒロインは大きく目を見開き、困った顔をして目を逸らした。
「だったら、どうして『行け』なんて言えるのよ」
「ヒロインが犠牲になる必要はないからだぞ、と」
レノは一拍置いて息をつくと、ヒロインの目線の高さまで足を曲げた。
「いつも一人で背負って、一人で悩んで――辛かったよな」
ヒロインがぎゅっと唇を噛んだ。
「たまには俺にも背負わせろよ、と」
ヒロインはゆるゆると首を振る。
「できない」
こうなったヒロインはテコでもきかない。
レノはヒロインの肩に置いていた手を離し、頭を掻いた。
「相変わらずだな、と」
昔と一つも変わっていない。
言いだしたら聞かないところも、自分を犠牲にしようとするところも。
レノは下を向いたヒロインの両頬を手で包み込むと、ゆっくりと自分の方を向かせた。
「俺がそう簡単にサンプルなんかになるわけないだろ。俺はタークスのエース、レノ様だぞ、と」
レノはにやりと口元に笑みを作った。
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いつも強がって、弱いところは誰にも見せない。
5年前と何一つ変わっていない。
それがレノには歯痒い。
レノはヒロインに近づくと、何も言わずに抱き締めた。
「会いたかった」
それは、何よりも伝えたかった言葉。
ヒロインを腕に抱き、その温もりを感じられたことで、やっと自分の思いを告げた。
しばらくは戸惑い、目を瞬かせていたヒロインだったが、恐る恐る伸ばされた手は、しっかりとレノの背に回された。
「レノ…」
啜り泣くようなヒロインの声を聞き、やはりヒロインが無理をしていたことを知る。
レノはヒロインの頭を優しく撫でてやり、一度強く抱き締めると、レノは兼ねてから言うつもりだったことを口にした。
「ヒロイン、あいつらと行け」
びくっとヒロインの身体が震えた。
驚いて顔を上げたヒロインの目は、動揺を映して揺れていた。
「そんなの、できない」
「全部、知ってるんだ」
ヒロインは大きく目を見開き、困った顔をして目を逸らした。
「だったら、どうして『行け』なんて言えるのよ」
「ヒロインが犠牲になる必要はないからだぞ、と」
レノは一拍置いて息をつくと、ヒロインの目線の高さまで足を曲げた。
「いつも一人で背負って、一人で悩んで――辛かったよな」
ヒロインがぎゅっと唇を噛んだ。
「たまには俺にも背負わせろよ、と」
ヒロインはゆるゆると首を振る。
「できない」
こうなったヒロインはテコでもきかない。
レノはヒロインの肩に置いていた手を離し、頭を掻いた。
「相変わらずだな、と」
昔と一つも変わっていない。
言いだしたら聞かないところも、自分を犠牲にしようとするところも。
レノは下を向いたヒロインの両頬を手で包み込むと、ゆっくりと自分の方を向かせた。
「俺がそう簡単にサンプルなんかになるわけないだろ。俺はタークスのエース、レノ様だぞ、と」
レノはにやりと口元に笑みを作った。
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