ヒロインたちはクラウドを先頭に、社長室から続く扉を抜けてヘリポートに出た。



　すでに着陸したヘリから降りてきたのは、金髪青眼のすらっとした男性だった。



「副社長…」



　何年か前に一度会っただけだったが、ヒロインにはその人こそルーファウス神羅だとすぐにわかった。



　ルーファウスもヒロインを覚えていたのか、懐かしそうに微笑んだ。



「ヒロイン…生きていたんだな。…ん、誰だ君たちは？」



　とうに視界に入っていたにも関わらず、ルーファウスはわざとらしく尋ねた。



「アバランチだ！」



「あぁ君たちが。そして古代種とは、何ともユーモアに富んだ組み合わせだ」



　バレットの怒鳴り声すら気に留めず、ルーファウスはくくっと笑った。



「親父が死んだと聞いて駆け付けたら、中々面白いものを見ることができた。せっかくだから、社長就任演説でも聞いていきたまえ」



　嘲笑うような笑みを浮かべ、ルーファウスが髪を掻き上げた。



「…バレット。本当に星の危機だ。皆を連れて先に脱出してくれ」



　それまで黙っていたクラウドが、険しい表情で言った。



「あぁ！？何言って――」



「説明は後だ。俺は後から行く」



「おう、わかった」



　クラウドの気迫に押されたバレットは素直に応じ、皆を先導し始めた。



「ヒロインも先に行ってくれ」



　クラウドにそう言われたものの、ヒロインはすぐに動けなかった。



（私が逃げたら――）



　レノのことを思うと、ヒロインには逃げる決断などできない。



「ヒロインはそちら側か」



　残念そうな、それでいて冷徹な響きを帯びたルーファウスの声に、ヒロインの動きが固まる。



　目を細めたルーファウスの視線に射竦められ、ヒロインはその場に凍り付いた。



「焦れったいな！行くぞ！」



　戻ってきたバレットに腕を捕まれ、ヒロインは引きずられるように連れていかれた。



「待って！私――」



「あんただけ残すわけにいかないだろ！」



　反論を封じられ、ヒロインはそこに残ることを許されなかった。



　最後に哀願するように振り返った視線の先には、氷のような冷たい目でヒロインを見つめるルーファウスがいた。



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