突然ヒロインの目の前で火花が散った。



　あまりの眩しさに反射的に目を瞑ったが、瞼の裏で光が弾ける。




「なるほど、これは手強い」



　男が忌々しげに言った。



　ヒロインには何が起こったのか全く分からなかったが、男が目的を達していないことだけは確かだった。




「まぁいい。自ずと目覚めるだろう」



　ヒロインが恐る恐る目を開けたときには、男の姿はなかった。



　どういう訳かはわからないが、危機を脱したことだけは感じ取れた。



　張り詰めた緊張感から解放されたヒロインは、ほっと息をついた。





「ヒロイン！」



　ばたばたと何人もの足音が近づいてきた。



　聞きなれた声で名を呼ばれ、ヒロインは顔をそちらに向けた。



「ティファ…！皆も無事だったのね」



　皆の怪我一つない姿を確認し、ヒロインはほっとする。



　しかし、喜んでばかりはいられなかった。



「あれは…！」



　すでに息絶えたプレジデントを貫く刀を目にしたクラウドの顔が強ばる。



　そのとき、デスクの辺りで物音がした。



　一気に緊張感が高まる。



　それぞれが次の事態に備えて身構えた。



　ガタッ。



　もう一度同じ音がした後現れたのは、宇宙開発部門統括のパルマーだった。



　クラウドたちに気付いたパルマーはまろぶように逃げ出したが、クラウドとバレットがそれを許すはずもない。



　パルマーは捉えられてなおもがき続けた。



「セフィロスだ…あいつが現れた」



「セフィロスだと！」



　バレットは信じられないといった面持ちで、刀を見た。



　その一瞬、バレットの力が弛んだ機会を逃さずパルマーが走って逃げたが、誰も関心を払わなかった。



　今や全員の目が刀へと向けられていた。





「あれが、セフィロス…」



　英雄セフィロスの名は、ヒロインも知っていた。



「知ってるのか？」



　クラウドが目を見張った。



「…だって、さっきまでここに――」



　ヒロインが話をしようとした矢先、ヘリのプロペラ音がそれを掻き消した。



「ルーファウスか！あいつがまだいやがった」



　バレットはヘリに視線をやると、大きく舌打ちをした。



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