2-4:記憶
ヒロイン
目覚めたのは、特別ブロックにある医務室のベッドの上だった。
まるで身体が自分のものでないように重く、レノは指先の硬直を解くことから始めた。
指一本一本に神経を集中させて、まずはゆっくりと。
次第に解れてくると、少し早く動かしてみる。
それを時間を掛けて全身に対して行うと、同時に記憶も甦ってきた。
支柱での戦い。
ヒロインと再会したこと。
心ない言葉で傷つけたこと。
そして――
「手…届いたのか」
真っ直ぐ自分に向けて伸ばされたヒロインの手。
夢だとばかり思っていたが、わずかに温もりが残っている気がして、レノはそれを逃がすまいと拳を握った。
それにしても、クラウドとかいう男に斬られた上、支柱のあの高さから落ちた自分が何故生きているのか。
まだ軋んだ音を上げそうな腕を動かし、レノは自分の身体に触れた。
斬られたはずの場所には包帯が巻かれていたが、他には外傷もない。
打撲痕すらないことを不思議に思いながら、同時にヒロインを庇ったクラウドを思いだし、舌打ちした。
「気付いたか」
音も立てず、気配まで消して入ってきたのは、相棒のルードだった。
声がして初めて、レノは顔をそちらに向けた。
「何も気配消すことないだろ、と」
敵組織に潜入中というわけでもないのに。
「癖でな」
そう言ったルードが、口元に軽く笑みを浮かべた。
レノはつられてふっと笑ったが、ヒロインのことを思い出して笑みを消した。
そして、一度視線を宙に向けた後、口を開いた。
「なぁルード。ヒロインは…いるのか?」
一段と室内が静まり返った。
自分が発した言葉が本当に音として耳を震わせたのかが疑わしいほど、ルードは変化を見せなかった。
レノは待った。
苛立ちを抑え、ルードが話し出すのをひたすらに。
しばらくして、心なしか下を向いて、ルードが大きく息をついた。
レノは息を飲む。
「ヒロインはここにいる。ただ、捕まって今は拘束室だ」
.
まるで身体が自分のものでないように重く、レノは指先の硬直を解くことから始めた。
指一本一本に神経を集中させて、まずはゆっくりと。
次第に解れてくると、少し早く動かしてみる。
それを時間を掛けて全身に対して行うと、同時に記憶も甦ってきた。
支柱での戦い。
ヒロインと再会したこと。
心ない言葉で傷つけたこと。
そして――
「手…届いたのか」
真っ直ぐ自分に向けて伸ばされたヒロインの手。
夢だとばかり思っていたが、わずかに温もりが残っている気がして、レノはそれを逃がすまいと拳を握った。
それにしても、クラウドとかいう男に斬られた上、支柱のあの高さから落ちた自分が何故生きているのか。
まだ軋んだ音を上げそうな腕を動かし、レノは自分の身体に触れた。
斬られたはずの場所には包帯が巻かれていたが、他には外傷もない。
打撲痕すらないことを不思議に思いながら、同時にヒロインを庇ったクラウドを思いだし、舌打ちした。
「気付いたか」
音も立てず、気配まで消して入ってきたのは、相棒のルードだった。
声がして初めて、レノは顔をそちらに向けた。
「何も気配消すことないだろ、と」
敵組織に潜入中というわけでもないのに。
「癖でな」
そう言ったルードが、口元に軽く笑みを浮かべた。
レノはつられてふっと笑ったが、ヒロインのことを思い出して笑みを消した。
そして、一度視線を宙に向けた後、口を開いた。
「なぁルード。ヒロインは…いるのか?」
一段と室内が静まり返った。
自分が発した言葉が本当に音として耳を震わせたのかが疑わしいほど、ルードは変化を見せなかった。
レノは待った。
苛立ちを抑え、ルードが話し出すのをひたすらに。
しばらくして、心なしか下を向いて、ルードが大きく息をついた。
レノは息を飲む。
「ヒロインはここにいる。ただ、捕まって今は拘束室だ」
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